『 鼓膜(破れたくない話)』
たいぺんなことが起きた。なんと、鏡の中の顔には何種類もあったのだ。
それは古い結論なので、そこで終わりとして、また怖い話になった。
思いつきとアイディアとは子となって出ていたのだ。つまり、俺の脳が転生している。何かを思いついた時、そいつは外へ飛び出して行って二度と帰ってこない奴になる。
ごくたまには帰ってくることもあるが、そいつはなんと俺の命を狙う殺し屋となって帰ってくるのだ。頭の中に帰って来られても困る、と伝える必要がある。
ここで思い尽きた。
その途端、子は左から右へ抜けて行き、鼓膜も気にせず大音響を鳴らす。今食べた物がそのまま自分になることを知ったのも、最近のことで、俺はなんだか老けた気持ちで鏡を覗き込んだ。
やっぱり、あいつは元あいつだったんだ。それから考えたが、こいつは誰なんだ。今も他に答えは無いのに、また迷っている。
作品名:『 鼓膜(破れたくない話)』 作家名:みゅーずりん仮名