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遅くない、スタートライン第3部 第4話 10/3更新

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マサ君の言ってた通りになった。その日のカフェの閉店前に、またメーカー担当と上司が来た。マサ君はあっくんのお絵かき教室に同行していた。またいいタイミングと言うのか、お絵かき教室で一緒になった雅樹兄貴もカフェについてきた。建築業界の福永雅樹一級建築士がついてきたんだもん。そりゃ…(@_@。ビックリしてました。メーカーさんたち!

話はマサ君の推察通りに決まった。車の中でマサ君は、雅樹兄貴に話したみたいだ。マサ君がメーカー側に提案したことは、雅樹兄貴も賛成してくれた。何も大事なグランドピアノのミンちゃんをメーカー側に渡すことはない、またミンちゃんはそのままカフェに展示し、プレートなり立ててメーカーの名前を出せばいいと。メーカーの技師の手にかかれば、最低限の調律はできるはずだと。ミンちゃんを樹家所有で保存することによって、【これだけ大事に使ってもらっている】のアピールと、またミンちゃんの本体はイジらず中の設備を最新のモノに替えることによって、メーカーの技術面評価が上がるのではないかと!マサ君方式で、樹家の姉妹も哀しまず、メーカーも評価も上がるし、技術面での評価も上がるから、一石三鳥だと言うのだ。

また、福永雅樹一級建築士がミンちゃんを置くミニステージを設計し作ってくれることになった。またこれもメーカー側にしたら美味しい話だ。あの福永雅樹一級建築士が作ったということで箔がつく。福永雅樹一級建築士方式で、これを販売化したら、ファクトリーマシャ建築事務所もメーカー側も利益も利潤も生まれるからと、メーカー側に話をしてくれたのだ。ありがたいことだ…

おかげさまで、ミンちゃんはカフェに残留することになった。またマサ君は、カフェの防音工事を福永雅樹一級建築士に依頼した。自分のボイスレッスンもあり、あっくんにも音楽を教えたいと思ったみたいだ。自宅でしてもいいが、今のところスペースがないからぁ。ミンちゃんは一旦、メーカー側に引き取られ来年の2月にカフェに帰ってくることになった。その間…メーカー側からグランドピアノの貸してもらえることになった。新しいグランドピアノが来週にもカフェにやってくることになった。

数日後、ミンちゃんがメーカーの運搬トラックに乗せられて、代わりにミンちゃんと同じタイプの最新設備が導入されたグランドピアノがカフェの一角に設置された。新しいグランドピアノの蓋を千尋さんと美裕が2人で開けた。初弾きを千尋さんがした。俺でも知っているショパンのセレナーデーだ。また美裕とは違う優しい音色だ。美裕も上手だが、千尋さんは年季が入ってるよん。千尋さんが弾き終わり、俺達は拍手をした。

「いやぁ…最新の機能が設備されてるって聞いてたけど。タッチも指の滑りもいいわぁ。ミンちゃんは手入れはしていたけど、このピアノの鍵盤ほど滑らかさはなかったわね」満足そうに感想を述べた千尋さんだ。(*^^*)

美裕は弾くときは、椅子に座ってから自分の右手の握りでこぶしを作りおなかとの距離を測った。美裕…最近おなかが出てきた。もう持ってるズボンやスカートはアウトで、俺のジャージを履くと言ったが、裾を踏んづけてコケたら大変じゃないか!俺はファクトリーマシャの専属スタイリストさんからマタニティーパンツやジャンスカを買ったもん。千尋さんも妊婦時代に着ていたジャンスカをまた…樹家お宝グッズ箱から出して、美裕に着せた。美裕(*^^*)小さいから、同じ姉妹なのに千尋さんは165センチ、健太郎義兄さんは182センチだ。何で美裕だけが155センチなのか、俺は不思議だった。千尋さん曰く…

「お父さんとお母さんが年いってたから、栄養が足りなかったんじゃない?」って笑いながら言うと、
「悪かったわね!どうせちびで」と美裕が膨れるのがいつものオチなんだが。(笑)そこで俺が一緒に笑ってみろよ!後で絶対仕返しされるわ。美裕に!!

おぉ…話が逸れた。

美裕は握りこぶしを作って…
「8ヶ月ぐらいまでいけそうよ。うん…毎日じゃないけど弾いちゃるからね。名前はこれでいい?千尋さん」
美裕は千尋さんの手のひらに文字を書いたみたいだ。千尋さんの顔が笑顔に変わった、そしてこう言った。

「お父さんの裕にお母さんの綾に」
「うん。ユアでどう?ユアちゃん」姉妹は嬉しそうにうなづいた。お、玄関でバイクのエンジン音が聞こえた。
健太郎義兄さんがやってきた。昼から非番って言ってたな!

「いいともぉ!ユアちゃんかぁ!お父さんもお母さんも喜んでるわ。後で俺も弾かせて」
エェ( ;∀;) 健太郎義兄さん弾けるん?俺は思わず雄介義兄さんの顔を見た。

「あぁ…知らなかった?亡くなったお母さん…音楽教室の先生だったの。メーカーの音楽教室で教えてたね。あれはいくつまでしてたの?千尋さん」雄介義兄さんが千尋さんに聞いた。

「結婚前と…健太郎が産まれるまでよ。後、ご近所の子供や高齢者に公民館で教えてたわ」
「エェ…そんなの聞いたことない!」弟妹は驚いた。
「うん。健太郎が産まれてからお母さん…専業主婦になったもん。私…お母さんがピアノ教室の時は一緒に教室に入って、机でお絵かきしてたわ」思い出したのか、懐かしそうに笑った千尋さんだ。

「だから樹の家子供達は、3歳からお母さんの手ほどきを受けてね。健ちゃんも高校生まで弾いてたよね?」
「大学は俺は全寮制に入ったからね。美裕は高校3年生まで弾いてたよな?」
「うん。製菓専門学校入るまで弾いてた。あぁ時々ストレス発散に弾いてた」
「そうそう!先生に怒られたりイヤな事あったら、ブツブツ言いながら弾いてたわよ。美裕」
その声に、俺と雄介義兄さんが笑った。

「ま、弾いてるうちに忘れるけどね。あぁ…何弾こうかな?」
「腕の振りがいるものはダメよ!私がセレナーデ弾いたから、あぁ!これは!健太郎はこれ弾いて」
ップ…千尋さんワガママだ ( *´艸`) でも弟妹は姉のリクエストを聞き入れた。

「あ、あかんわぁ。カタまってるぅ」
千尋さんは自分の横に座っている マサ君の頬を指で押したけど…マサ君は現実の世界には戻ってこれなかった。
「あぁ…そんな驚いたか。美裕…おまえがピアノ弾くの知ってるんだろう?マサ君」
「知ってるけど…今日のレベルは初めてかも。健兄ぃのもきっとビックリしたのよ」
有ちゃんがコップにミネラルウォーターを入れて持ってきた。

「……ビックリしない方が変よ。みぃちゃんもけんちゃんもレベル高すぎでフリーズしちゃったのよ。MASATO先生」
諒君もケーキをカットし、ワゴンで運んできてこう言った。
「俺でも知ってますよ。美裕さん…ランゲの花の歌で、健太郎さんがショパンの別れの曲弾くんだもん。MASATO先生がカタまるの無理ないわぁ。美裕さん…切り札に置いてたんちゃうんですか?今日の曲」

「……そんなことないわ」私は諒君に言い当てられてちょっと焦った。

マサ君…意識が戻ったようで…

「み、美裕ぉ…おまえマジか?」声のトーンがちょっと低く怖かったゎ。
「そ、そんなことないよ。私がそんなことすると思ってるん?」
「美裕ちゃん…家に帰ったら尋問するからな!諒君!一番デカくカットしてな!そこのケーキ!」