落とし物からの発想
用事を終えて帰るとき、また同じ道を通った。やはりまだ落ちていた。当然、落とし物を拾うようなことはしないのが普通だ。
しかし、同じタイトルの本が2冊転がっているのは普通ではない。しかも両方同じタイトルなど、明らかに不自然だ。
ということは、私がそれを1冊拾うという、普通でない行動をとったとしても、別にいいのではないか、という、今考えたら「何やってんだ俺」と言いたくなるような感覚で、拾った。
とても闇い話だった。
そういう闇い世界に、何度か引っかかったことがある私は、嫌な予感がした。
よって数ページも読まないうちにカバンにしまった。
こういうとき、どうすれば気が紛れるのだろうか。
一つに、明るいもので照らすという方法がある。よって私は、部屋の机に無造作に置いてあった、まんがタイムきららをペラペラ見て、ニタニタ笑った。
くらいときは、照らせばよいのではないか。
その方法は、もう星の数ほどあるだろう。