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てっしゅう
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「空蝉の恋」 第二十八話

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「佳恵さん、辛かったね」

「恵美子さん、私ね・・・私本当は・・・」

その後は言葉にならなかった。

「いいのよ、泣いて。あなたは悪くないの。これでいいのよ。これからは私たちと仲良く楽しみましょう」

「うん。そうね。もう元には戻らないから、楽しまないとね。ずっと仲良くしてね」

「そんなこと解っているわよ。ねえ?和仁とのこと考えてくれるのよね?」

「今は自分のこれからを考えないといけないので、そんな余裕はないの。テニススクールもやめる。お金がこれまでのようには使えないから仕方ないの」

「仕方ないよね。落ち着いたら考えてよ。四人でまた旅行に行きましょうよ。あなたが離婚したからなんか勇気が出てきた。私も離婚しようかな」

「あなたも?無理に別れなくても良いと思うけど」

「無理にじゃないの。息子が来年就職するから、ちょうどいいタイミングかもって思える。佳恵さんは洋子さんとどうするの?」

「私たちは離婚の話し合いで、洋子が就職するまで今のままで居ることが出来るの。お金のことはまだ心配しなくてもいいから安心なんだけど、二年なんてあっという間に来るから、すぐにでも働いて貯金しないといけないって考えている」

「旦那さんが扶養義務を放棄しないのね。その点では立派な人だったじゃない。養育費を貰えずに困っているバツイチの人って多いと思うよ。私もそうならないように、就職を待つわ」

「恵美子さんは離婚したら康生さんと再婚するの?」

「そうね、彼はいつでも離婚できると言ってくれているから、そうなると思う」

「いいわね。子供さんにはどういうの?まさか付き合っていたとは言えないでしょう?」

「それはそうよ。まあ、お見合いパーティーで知り合ったとでも言おうかしら、ハハハ~」

「笑い事ではないと思うけど。用心してね。私みたいに気づかれると不利になるから」

「大丈夫よ。夫の方も浮気しているから、調べたりなんかしない」

「それならいいけど。ひょっとして私の夫もこんなに離婚を急いだのは、彼女がいたのかも知れないって考えちゃったわ」

「そうよ!絶対にそう。佳恵さんはまんまと引っかかって上手くやり込められたのよ。見てなさい、直ぐに再婚すると思うから」

「何だか不公平ね。私だけあんなふうに責められて。洋子がね、パパにぎゃふんと言わせなきゃね、って言ったの。あの子何か感づいていたのかも知れないって思えるわ」

「へえ~女の勘っていうやつね。怖いわね~」

「和仁さんとのことも、言われたの。ママは付き合っているんじゃないのってね」

「ほんとう?どこでそう感じたんだろう?」

私はライブの日のことを恵美子に話した。