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本音

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「君は優しいね…」
誰かが自分にそう言った。
違う、違う、自分はそんなんじゃない。
誰かに優しいのはその人に嫌われたくないから。
親の言うことに逆らうのが怖くて適当な理由をつけて従っていていただけ。
中身なんてこれっぽちもなくて薄っぺらい人間なんだ。
何かと自分に甘く、楽な方にと流されていった。
中途半端で人になんて到底受け入れられない。
でもそれが恐ろしくて上辺だけでもあの気持ち悪い作り笑いして取り繕ってる。
僕は自分が嫌いだ、嫌いでしょうがない。
自分勝手でしょうがない、全て人のせいにする、すぐにあきらめるし、小言をぶつぶつと吐く。自分をかわいそうだと落とし込み自分を慰めてる自分が憎い。
本当にやさしいのはそんな自分を受け入れてくれている周りの人間なんだ、こんな奴嫌って当然だ。人の信用を崩すのが得意な自分なんて、僕は要らない。僕にとっては要らない人間なんだ。
そう思いながらも自分はこう応える。
「そうかな…?ありがとう。」
あぁ…本当に俺は俺が嫌いだ。
作品名:本音 作家名:奏月