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いろちがいのいのち

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レトロモードでプレイしていると、制服姿が目の端に見えた。学校は終わったらしい。チクショウ。やりづらいったらない。
 100体倒すと出てくる色違いモンスター。逃げ足は早いが、倒せば経験値10万。でも、俺の目的はレアアイテムの方。強い武器を作るのに必要だ。本当ならとっくに揃っているのに!
「ユウ! この中のレアキャラ、分かるか? 色違いなんだ」
 ヘッドフォンを外して聞くと、不愉快そうな視線を送られた。
「お前、本当飽きないよな、それ」
「バカ、今回は違うって。マジで聞いてんの」
 心から言ったのに、まだ胡散臭そうな顔だ。疑いすぎ。
「全部同じに見えるよ。あ、でも、右上の、そうじゃない?」
「どれ!」
「今画面から外れた……そっちじゃなくて、あ! それ、その壁に向かって走っているやつ」
 指示を受けてキャラを動かす。キックからの斬撃がヒットすると、敵はあっけなく消えた。経験値10万。ビンゴ!
「うおお! お前やるなあ!」
 アイテムは見つからず。でも、ユウがいればだいぶ楽になる。
「なんだよ。アンが見れば一発だろ?」
「ちげーんだって。今これレトロモードなの」
「レトロモード? なにそれ」
「カラーじゃなくて、画面がモノクロになってんだよ」
 お前の目と一緒、と軽口が出かけたけど、今はこらえる。アイテム集めに協力してもらわなきゃ、だからな。
「ああ、レトロってそういうこと。って、なんでわざわざ」
「ゲーム機壊れた。普通のモードだと動かない」
「乱暴に扱うから」
「ちげーよ! バグなんだって。タダで交換してくれるんだと」 
 それから、ユウの指示を聞きながらモンスターを狩っていく。一人より面倒だけど、ユウとゲームをするってのは新鮮だ。
「またビンゴ! さすが、モノクロのプロは違う。ユウの目も、役に立つことあんだね」
「お前やっぱりケンカを売ってるだろ」
「売ってねーよ。褒めてんだって」
「次は下の、違う、それ雑魚キャラだ。えっと、右のやつかな?」
「なにやってんだよ……っておい! 右のも違うじゃんか!」
「違いが微妙なんだよ……いっそ、誰かさんみたいに真っ黒なデザインなら分かりやすいんだけど。なあ、アンドレ君?」
「……お前、ケンカ売ってんのか」
「そっちが先だろ」
「今日はそういうんじゃねーっつってんだろ! マジで人を信用しないよね、お前。俺のゲーム機と一緒にユウも交換に出してやろうか? 頭ん中繋ぎなおして目と性格直してもらえよ」
「アンみたいな鈍間に捕まるかよ。返討ちで経験値10万だ」
「バーカ。俺を倒せたらもっとすげえ経験値手に入るって」
「バカはお前だ……。なあ、明日は学校来いよ」
「……まあ、ゲーム機、修理に出すと暇だからな」
 左上のやつ。段々見分けがつくようになってきたけれど、ユウの声でボタンを押す。色違い。レアキャラ。貴重なアイテム。なかなか見つからねーけど、よし、やっと一つ手に入れた!
作品名:いろちがいのいのち 作家名:ひいろ