社会に不適合な二人の
二人とも酒と陰陽師が好き
弟も私も二人ともお酒が好きなものでして、飲めるならいつでも飲みたいと心に秘めています。が、しかし、金欠の二人ですから、酒代もろくすっぽありません。酒を飲もうと提案するのは、まだお金のある私だったりしますが、弟の部屋をノックして誘うと、いつも最初に金がないと言われます。
これはある日の夜の話。
「酒でも飲みに行く?」
「金がない。」
「飲食代までなら私が出せるけど。」
「どういう事?」
「現金がないけど、クレジットが効く店なら払えるから。」
「ああ、そうか。タクシー代か。」
「行ける?」
「タクシー代ならあるかな。いくか。」
「いきますか。」
「いこう。」
「いこう。」
「そう言うことになった。」
先にいこうと言った人が、そう言うことになった、まで言うのが二人の間の決まり事だったりします。
――
[いこう いこう]…夢枕獏先生著、陰陽師。安倍晴明と源博雅が連れだってどこかに行くときは必ずこう言います。
[そう言うことになった]…本来は地の文。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮