コイントス
著:大島恭平
ポール 人生ってのは、一枚のコインを弾くようなものだ
フロウ というと?
ポール コインを弾いて、再び手元に戻る間に、裏表を繰り返す。
フロウ 人間っていうのはそういうもの!
ポール 材質が均一なコインを、ランダムな運動を与えて投げた場合、表になるか裏になるかは、ほぼ同様。
フロウ 裏か表か。生か死か。その隣りあわせの綱渡り。背中と背中をくっつけて、
一つの橋をつけたなら、歩行者歩行者まっつぐに!
ポール 廻りに廻って、光を浴びろ!
フロウ もっと高く!お願い!もっと高く!
ポール 動き続けろ!お前がそう望むなら!
フロウ ねぇ?重力はどう?
●ポール、フロウ 動きを止める。
ポール コインと、
フロウ 命。
ポール 弾き出されたコインに思いを託すのは我々の使命だ。
フロウ しかし思いを乗せることはできないのです。
ポール なら。
フロウ なら?
ポール 俺らの思いは
フロウ 君に託すよ!
●ポール、フロウに向かってコインをなげる。
それを受け取るフロウ。
フロウ 私の役目は、君を連れて行くこと。
ポール 俺の役目は、君を彼らに会わせること。
ポ・フ なら、君の役目はなんだろう?
ポ・フ じゃあ…
ポール 準備はいいかい?
フロウ 用意はいいかい?
●フロウ、客席に向かってコインを投げる