皮を剥く
初詣の帰り
押されたのか踏み外したのか
石段から転げた
破魔矢を大事にし過ぎて
鏡開きのころ
膝を観ると
ひびの入った餅の様に
かさぶたが出来た
もう,いいだろう
爪で
盛り上がったかさぶたを
剥がす決心をしたが
あのとき
君が手を出してくれたのに
破魔矢を離すことが出来なかった
いつも
1番大切なものを見失っている
君の初めての着物姿も
褒め言葉を言わなかった
かさぶたを剥がすと
決めてしまえば
ピンク色の新しい皮膚が
明日を待たずに
生まれてくれた
やはり
君には成人式の時は
きれいだと
恥ずかしがらずに言ってみたい