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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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プロローグ



 見渡す限りどこまでも続く大草原。
 生命が息づく大地を私達が走っていた。
 狙うはモンスターの首ただ1つ!
 私達は得物を構えながら目的のモンスターを追い詰めた。
『ブィヤァァアアァァ――ッ!!』
 そのモンスターは口を大きく開けて叫んだ。
 全身の毛皮が真っ赤に燃えた様な…… って言うか完全に発火していて、巨大な鼻に大きく裂けた下顎から飛び出て反り上がった6本の牙、二股に分かれた蹄に丸太の様な4本の脚、そして2本の尻尾が生えた巨大猪、その名も『バーニング・ボア』と戦っていた。 
 さっきから結構ダメージを与えてるからそろそろ倒せるだろう、でも私達も相当なダメージを負っていて、HPもFPも底を尽きかけていた。
 まさに正念場、やるかやられるかのどちらかだった。
 前のランクでもこんな事はしばしばあった。
 モンスターの弱点や倒し方が分からずに四苦八苦するなんていつもの事だった。
 それでもここにいるパーティや他のプレイヤー達のおかげでここまで来れた。絶対諦めたく無かった。
 どちらにしろ次で全てが決まる…… 勝負は長引かないだろう。
『ブギィィ――ッ!!』
 先に仕掛けたのは向こうだった。
 バーニング・ボアは前足で大地を蹴ると私達に向かって突進した。
 全身の炎が渦を巻いた巨岩の様に迫って来ると私達は左右に別れて回避した。
 
 攻撃がカラ振りに終わったバーニング・ボアはuターンして再び私達に向かってこようとする。
 でもその刹那、奴のスピードが弱まった。そこを狙って仲間の1人の魔導士が呪文を唱えた。
「グラビティ・バインドッ!」
 バーニング・ボアの足元に紫色に輝くサークルの中に六亡星と言う魔法陣が浮かび上がった。
 魔法陣の中から無数の鎖が飛び出すとバーニング・ボアの巨体に絡み付いた。
『ブギャァァアア――ッ!!』
 バーニング・ボアは地響きを立てながら倒れた。
 この魔法は数ターンだけ相手の動きを封じる物だった。
 でもその数ターンが大事だった。
 仲間の1人である僧侶が魔法をかけた。
「ブレイク・ダウンっ!」
 今度はバーニング・ボアの間上に金色のサークルの中に金色の十字架が描かれた魔法陣が浮かび上がり、それが降下してバーニング・ボアを包み込んだ。
 するとバーニング・ボアの頭の上に青い盾に赤い↓が重なった模様が浮かび上がった。
 これは相手の防御力が下がった証しだった。
 ここから先は私の…… いや、私達の出番だった。
 
 私の隣に仲間の1人の武闘家が並んで技コマンドを選択する。
「チャージっ!」
「渾身っ!」
 私も技コマンドを選択する。
 これは名前が違うだけで前者と同じ、1ターン捨てて自分の攻撃力を上げると言う物だった。
 これで私達の攻撃力は2倍に上がった。
 相手のモンスターのターンは封じられている、そして私達のターンは再びやって来た。
 魔導士の子は拘束魔法をかけてる為に動く事はできない、僧侶の子は再びバーニング・ボアに防御力低下の魔法をかけた。
私達は今持ってる水属性の武器を構えると今度は攻撃用コマンドを選択した。
「ハード・スタッブっ!」
「エミル・パーンチっ!」
 私の持っている海鳴りの鉾の全力突きと武闘家(名前バレ)の子の正拳突きが炸裂した。
 見るからに炎属性の敵にはこれがお似合いだ。
『ギャアァァアアァァ―――ッ!』
 バーニング・ボアは体を仰け反らせると地面に倒れ、小刻みに体を痙攣させると動かなくなった。
 私達の勝ちだった。
「やったぁぁ――ッ!」
 私達の大きくかざした手が交差し合い、これにてクエスト終了だった。