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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「空蝉の恋」 第十話

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「私は職業でテニスのコーチをしています。レッスンを受けに来られている女性の皆さんは大切な生徒さんばかりですよ。一人の女性を贔屓にするようなことをしては決してならないのです。このことはお分かりいただけますか?」

「はい、その通りだと思います」

「ですよね。ということはですよ、こうして内田さんをお誘いしたということは自分のなかでは生徒さんと同じという意味ではないんです」

「私は結婚しています。コーチは独身だとお聞きしていますので、そういうお話は不適切だと感じますが」

「どうしてですか?佳恵さんが独身でも誰かの奥様でも、ボクにとっては関係ないんです。再婚して欲しいと申し込みたいのではありません。もちろん結果としてそうならないとは言い切れませんが、あなたの可愛らしさに・・・惹かれたんです。嘘ではありません」

「そのように聞かされましても・・・困ってしまいます」

私は目の前の徳永をもうまともに見つめることが出来なくなっていた。
こんな話をされるぐらいなら、お土産だけ渡して帰るべきだったと思い始めた。

「内田さんの心が決まるまで待ちます。ずっと待ちます。ボクは離婚してから、もう女性との恋愛はしばらく止めようと決めていました。
あなたが体験入校されて、自分の気持ちが動かされました。年齢のことは解っています。そんなこと気になりません。こうして時々食事をするだけでいいんです。レッスンも辞めずに続けてください。お願いします」

「徳永コーチ・・・私のようなおばさんにそんなこと言われましてもすぐに、はいそうですかと信じることが出来ません。先生はお若くて素敵な男性です。不釣り合いだと感じます。夢を戴けただけで十分です。もっと若くて可愛い人を見つけて大切にしてあげてください」

「どんな若くて美人がいても、ボクの心にはあなたしか見えません。それだけは信じてください。厚かましいお願いだとは重々承知です。でも話しておきたかったので今日お誘いしました。怒らないで、また会ってください」

「恵美子さんが、コーチのことを気にしていました。今日のことを聞いたらどう思うか心配です」

「恵美子さんは素敵ですが、ボクの好みではありません。そんなこと気にされなくていいですよ。まだ何も彼女からは言われていませんから」

「そう言われましても、彼女とはお友達なので」

「内田さん、私はあなた以外と仲良くなることはありません。もっと自分に自信をもって行動されてください。そうすればテニスも上達します。ずっと輝いていて欲しいから、もっと女らしくなさってください。年齢なんて自分で感じたらそれまでです」

コーチの言葉は深く胸に染み込んで行く・・・