ワタシタチ。2
ヒロイン
「あの作品のヒロインのようになりたい。」
ずっとそう思っていたの
だけどそれは違うってようやく気付いたんだよ
今の私には輝いた明日の予定も
自信を持たせるメイク道具も
もう何にも必要がないみたい
「僕は未完成な君がすきなんだよ。」
寒いからってすぐポケットに手を入れちゃ嫌だよ
その右手は私の左手をずっと握っていて欲しかったの
下手っぴな恋愛物語も
不揃いな言葉を並べて紡いだ会話も
部屋の中で過ごした時間のほうが多いはずなのに
窓の外の空気に触れるほうが思い出は鮮やかに蘇るの
エピローグが苦手な私だけれど
君と出逢ったあの時
今回はきっとうまくいく気がしていたの
だから今日は、恋愛ソングしか歌わない彼女の音楽には頼らない。
何年経っても終わりは苦手で
いつでもさようならは言えなくて
まだ想像上のこじつけハッピーエンドしか知らないから
いつか誰か私に
本当のハッピーエンドを教えて下さい。
だけど君は私と出逢ったあの時
優しい笑顔で言ったの
「ああ、やっとハッピーエンドだ。」、って。
ねえそれならどうしてこんなふうに
物語を簡単に終わらせちゃったの?
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『ヒロイン』/ meluco.