ワタシタチ。2
大人
20代を過ぎてから見る世界は、とてもリアルだった。
雲の上に乗れないことや
バイトをすぐ辞めたひとには冷たいこと
自分が何もしなければ洗濯物も食器も永遠に溜まっていくことだって
この世界では当たり前のことだった
この世に魔法なんて無かったらしい
子供の頃に夢見た自分は
都心の人混みで居心地が悪そうに歩いていた
ビルの窓に反射した太陽の光が目に突き刺さって
ふと、来年の夏を思い浮かべた午後
誰もが“いつか”を信じてしまう
何故目に見えないものにしがみついて
いつまでも恋焦がれてしまう?
真面目が報われないなんて許せないの
何故マンションのロビーで踊り狂う
不真面目なあの子のことを美しいとする?
今夜、降り出した雨はまだ止みそうにない
隣人のニュースにはさほど興味がない
注がれたビールの苦さにはまだ慣れない癖に
私に興味のない君への執着で世界を分かった気がしていた
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