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ゆりいか①

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演出の多様性、自由解釈を推奨する為に。
全てのト書きを排しています。
「!」「?」「……」なども排しています。


□登場人物
男女どちらでも。

ゆうき
りょう
いさみ
かなた


☆指標
私は発見した。


▽本編

ゆうき「バス来ないね」
りょう「うん、さっき行っちゃったからね」
ゆうき「なんで」
いさみ「お前が寝坊して遅れたからだよ」
ゆうき「ちがうよ」
いさみ「ちがうの」
ゆうき「ちがうよ」
いさみ「何がどう、ちがうんだ」
ゆうき「りょうに聞いてよ」
りょう「え」
いさみ「なんで、りょうに」
りょう「そうだよ、なんでりょうに」
ゆうき「自分のこと名前で呼ばないでよ」
いさみ「それは思った」
りょう「え、そりゃちょっと違和感は拭えなかったけど。話の腰を折るほどじゃあなかったでしょ」
ゆうき「とにかく、やめてください」
いさみ「お願いします」
りょう「なんで僕が悪いみたいになってるのさ」
かなた「ちょっと君ら。静かにしてくれないか」
りょう「ごめん」
いさみ「りょうってそういうとこあるよな」
ゆうき「ほんとに」
りょう「え」
かなた「君らって言ったろ。全員だ全員」
ゆうき「じゃあ、かなたもだな。うるせーんだよお前」
かなた「はぁ」
いさみ「ゆうきのそういう全てを巻き込む感じ、凄えよな」
りょう「うん、尊敬できるよね」
いさみ「いや」
りょう「え」
かなた「ゆうき君。毎度毎度、君は頭が酷いな。どう解釈したら私を君ら騒音組の一員に含められるんだい」
ゆうき「そっちが全員だって言った。俺は、かなたのこと仲間だと思ってるから含めた」
かなた「それはずるいだろ」
りょう「かっこいい」
いさみ「セリフだけはな」
かなた「もう、いい。とにかく、もうちょっと私は静かにしていて欲しいんだよ」
ゆうき「もうちょっとってのはどのくらいだ」
かなた「めんどくさいやつだよ、本当」
りょう「まあまあ、少し声のボリューム下げようよ」
ゆうき「なんで」
いさみ「またそういうのだよ」
りょう「なんでかは、わからないけど」
かなた「私が不快に感じたからだ」
ゆうき「不快って、俺たち友達じゃないのかよ」
かなた「だから、なんかずるい」
いさみ「表現の仕方がな。不快はちょっと、こっちとしても不快だって」
りょう「わぁ、深いね」
いさみ「浅えよ」
りょう「え」
かなた「わかったよ。それについては謝罪する。すまない」
ゆうき「いちいちな。謝罪とかさ、不快とか、小難しいってか、堅いんだよな、表現が」
いさみ「そうそう、もっと噛み砕いた言葉にしろよ」
りょう「硬くて噛めないんじゃない」
いさみ「だまれ」
りょう「え」
かなた「そうか、堅苦しいということか」
いさみ「そうだな」
ゆうき「もっと軽くていいよ。何も考えないでさ」
かなた「と言われても」
いさみ「染み付いたもんは仕方ないけどな。できる限り気楽に接してくれよって話だよ」
ゆうき「そうそう」
かなた「わかった。すまないな、なんだか」
ゆうき「別にいいよ」
かなた「じゃあ改めて静かにしろ」
ゆ&い「うわ」
ゆうき「喧嘩売ってんじゃなかろうな」
いさみ「十分にあり得る。というか、かなり大安売り中だよ、こいつ」
かなた「そういう訳じゃない。単純にそれとこれとは別の話だということだ」
ゆうき「同じ物語なのに」
かなた「そういう言いまわしばかりだな君は」
いさみ「もう、少しだけ静かにしてみようぜ。逆にうるせえもんこいつが」
ゆうき「うまいね」
いさみ「だろ」
りょう「ええ」
かなた「はい、お静かにな」
りょう「え」
いさみ「そういえばさ」
ゆうき「なにさ」
いさみ「結局なんでバスに乗れなかったんだ」
ゆうき「それはりょうに聞いてくれと」
いさみ「だから、なんでだよ」
ゆうき「なんで」
りょう「え」
いさみ「なんで」
りょう「ええ」
かなた「なんで」
りょう「えええ。待ってよ、僕は何にも知らないよ」
ゆうき「それでも考えることはできる」
りょう「言いまわし。考えてどうするのさ」
ゆうき「答えを見つけるんだ」
りょう「言いまわし」
いさみ「会話をどういう方向に持っていきたいんだろうな、こいつは」
かなた「持つのがめんどくさいから、放り投げてるんだろう」
いさみ「いまの説明して」
かなた「いやだよ」
りょう「考えてもさ。朝ゆうき君が待ち合わせの場所に来なかったのが悪いというか。寝坊したんでしょ」
ゆうき「失敬な。確かに俺は、待ち合わせの場所に待ち合わせの時間、居なかった。でも、だからって、寝坊したことにはならないだろう」
りょう「確かにそうだけど」
いさみ「じゃあなんで遅刻したんだよ」
ゆうき「寝てた」
い&り「寝坊じゃねえか」
ゆうき「ちがうって」
いさみ「なにがちがうって」
ゆうき「なにもかもだよ」
りょう「なにもかもって、なんなのさ」
ゆうき「なんだと思う」
い&り「うわ」
いさみ「もう話したくない」
りょう「負の感情しか生まれない」
ゆうき「生産性はある会話なんだな、よかった」
りょう「あ、やばい。物を壊したい」
いさみ「ストレスを植え付ける天才だな、こいつ」
ゆうき「言われてんぞ、かなた」
かなた「君だ、今のは全部、君への非難だ」
ゆうき「ちがう」
かなた「何がちがうんだ」
ゆうき「そんなのもわかんないのかよ」
かなた「この口を縫い合わせて二度と開くな、いいか、二度とだ、二度とだ」
りょう「バス、来ないなぁ」
いさみ「どんくらいで来るんだっけ」
りょう「時刻表が無いからわからないね」
いさみ「まあ、バスなんて乗らねえからな」
かなた「唯一知っていた時間の便に乗り過ごしたからな」
いさみ「それが痛いよな」
ゆうき「ほんと、痛いからそろそろやめて」
かなた「喋るな」
ゆうき「なるべくな」
かなた「絶対に永久に確実にだ」
ゆうき「はいはい」
かなた「とても不愉快」
りょう「どれくらい待とうか」
いさみ「そこだよな」
ゆうき「とりあえず、俺は1時間は余裕だよ」
いさみ「1時間か。まあ、待ててそんくらいだよな」
りょう「そうだね。1時間待って来なかったらどうしよう」
かなた「私は諦めて帰るよ、来なかったら」
いさみ「でも、せっかくだし、どっか別なとこ行こうぜ」
りょう「そうだね、あった予定が無くなったら暇だしね」
かなた「ウチはダメだぞ」
りょう「え、広くて大きいから、うってつけなのに」
かなた「広くて大きくても、君らを突然招待出来るほど寛容な家では無いんだよ」
いさみ「少し散らかってても気にしねーって、どこも似たようなもんだろ。それにお前の家はいつでも普通に綺麗だ」
かなた「その言葉や心意気は有難いが、そういう問題じゃ無いんだ。悪いな」
りょう「いーちゃん、家庭の事情だよきっと」
いさみ「まあ、無理なら仕方ないな」
ゆうき「なんで」
ゆ以外「なんでじゃない」
ゆうき「どうして」
いさみ「バグってんのかよ、おめーわよ」
ゆうき「バグってないですね」
かなた「ほんと、そこらの羽虫と変わりないよ君は」
りょう「虫だけに」
り以外「あっ、飛行機だー」
りょう「むしかー」
ゆうき「近いなー大きい」
いさみ「ここらに飛行場なんてあったっけ」
かなた「いや、聞いたことないな」
作品名:ゆりいか① 作家名:群翔