詩⑬
花火
真っ黒な世界に 細い命が昇った
か細く高い泣き声上げて ばん、と
一瞬の静止の後に 美しく散る花
隣の君の手強く握り直してただ見つめた
闇に染まった辺り 鮮やかに塗り替える
ちらりと横目で見た 君の頬も色を変えていた
瞳はきらきらと 虹を描き煌く
固唾を飲んで 空間に溶け込んでゆく
散りゆく儚い 生命の息吹
僕らに何かを伝えようとしてる気がした
心が静かに高揚して 涙が溢れた
二人手を繋いで寄り添ったまま 頬伝う
明日になれば思い出は「過去」でしかない
こんなにも胸をいっぱいにさせる感情も
忘れたくないと 忘れてはいけないと
目に強く強く 焼き付けた