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ホットスポット

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私が杖を落とした音が、店の主人に聴こえたのかドアが開いた。店の主人は、私の足元で眠っている男の子を見てビックリしていた。それから、店の主人が町内の交番所に連絡を入れたようだ。それからすぐに、眠っている男の子を迎えに来た親が迎えに来た。息子が見つかり安堵した表情だった。よかったな‥親が見つかって、私も安堵した。

その両親がまた、私に話しかけた。
「息子が目を覚ましてから話を聞きましたが、私たちは信じられませんでしたが」 
「でも息子はウソをついているようには見えませんでしたし‥何度も話を聞きました」
「ありがとうございます。この街に来た時から息子に声をかけて頂き、そのお声かけのおかげで。迷子になったうちの息子を見つけることができました。その息子が‥」

その男の子は、去年結婚し今年の初めに息子が産まれたそうだ。また息子はこの街に戻って来るそうだ。親はまた私にこう言った。
「また‥今度はその息子に声をかけてやってくださいね」
「あなたはこの街の‥ホット・スポットです」
「どうかいつまでも‥迷子の子供達・困った子供達を見守ってやってくださいね」
夫婦連れは、また私に頭を下げて道を歩き出した。

私は、今まで何の役にも立たない店頭の看板だと思った。私は店の主人が手作りした木で作られた看板で、季節毎に洋服を替えて茶色の帽子を被って右手には杖を持っていた。

誰も私を見ていないと思っていた‥私の言葉など聴こえないと思っていたから‥夫婦連れの言葉はとても嬉しかった。私は役に立っていたのだな。

これからも‥
街の【ホット・スポット】でいられるよう‥迷子の子供達や困った子供達そして大人達にも語りかけていこう。   

                           完   
 
作品名:ホットスポット 作家名:楓 美風