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俳句と川柳の戦い

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大家:「最近、何かしら俳句を嗜むようになってね」
棟梁:「ほう、俳句をですか」
大家:「色々と、自然に触れ合うたびに、一句浮かぶんだ」
棟梁:「自然に触れ合うとは」
大家:「いや、先日久しぶりに近くの神社まで、参詣に出かけたんだが」
大家:「緩やかな山道を登っているおり、一瞬旋風が吹いてね、足元の落葉をすくい上げ、僕の歩く先へ押しやったんだよ」
大家:「その時は、何も思わずに、歩きはじめたんだが、そこでまた旋風がおき、追いかけるようにして、僕のつま先の方へやったんだな、それがね、カサカサと音を立てながら、必死で付いてくるように」
大家:「その時、ついクスッと笑みがこぼれてね」
大家:「風の力を借りてでも、僕と駈けっこしたそうだなって」
大家:「何か、とっておきの感動をもらったような気がしてね、そしてこの情景を、俳句にでも残しておきたいと思ったんだ」
棟梁:「で、どんな句になったんですか」
大家:「落葉の子、かけっこしたそに、ついてくる、」
大家:「そのものずばりなんだけど、ちょっと、字あまりだが、季語もあるし如何だい」
棟梁:「なるほど、チョイといけますね」
大家:「チョイといけますねはないだろう、利き酒しているんじゃないよ」
棟梁:「いやぁ、なかなか風情があって、松尾芭蕉も嫉妬するってもんですよ」
大家:「途端に変わるねぇ」
大家:「ところで、棟梁も何かやっているんだろう」
棟梁:「私はいつも女房から、チクチク言われるもんで、川柳で見返してやろうと思いましてね」
大家:「ほうそれで、何か思いついたかい」
棟梁:「こんなのは、どうですか」
棟梁:「ひらけごま、妻の財布に、おまじない」
大家:「どこかで聞いたようなセリフだけども」
大家:「意味はだいたい分かるよ、お金を出させようって魂胆だろう」
大家:「しかしねぇ、そんなに入っちゃいないと思うよ」
棟梁:「えっ、うちの女房の財布の中身、見たんですかい」
大家:「いやいや、うちのかみさんも含めて、今時の奥さん達の財布の中身は、クレジットカード、キャッシュカード、ポイントカード、そんなのばっかりだよ」
大家:「ところで、カードの暗証番号は聞いているのかい」
棟梁:「いえね、あんたは機械音痴だから、だめだっていうんですよ」
大家:「ポイントカードはどうだい」
棟梁:「あれは、つり銭を貯めている様なもんで、たいした額にもなりませんよ」
大家:「じゃあ、これは没だな、時世に合わないと言う事で」
棟梁:「え!」
大家:「他にはないかい」
棟梁:「いやー、これは自虐ネタとでも言いましょうか」
棟梁:「あんまり公表しても、つらいものがありまして」
大家:「いいから、言ってみなさい」
棟梁:「では」
棟梁:「リアップを、付けた途端に、流れ落ち」
大家:「リアップと言うよりも、リアルだねぇ」
大家:「それに、商品名を出しちゃまずいよ、それともなにかい、会社から金でも貰っているのかい」
棟梁:「と、とんでもない」
棟梁:「あっしは、ただの大工ですよ」
大家:「じゃあ、リアップを毛生え液に変えたらどうだい」
棟梁:「毛生え液ですか?」
棟梁:「毛生え液、付けた途端に、流れ落ち」
棟梁:「ちょっと生々しすぎて、人間性を疑われますよ」
大家:「じゃ、毛生え液を養毛液に変えたらどうだね」
棟梁:「頭が一文字増えますけどね」
大家:「いいじゃないか、どうせ増やしたいんだろう、頭」


作品名:俳句と川柳の戦い 作家名:森 明彦