レイジア大陸英雄譚序幕
前座
人が居て、魔物がいる大陸、レイジア。
人と魔物は千年以上争ってきた。ときには魔物の流入により国土が荒廃する事もあった。魔物にとって人間は下等種族であった。
しかし、下等種族である人間が生き延び続ける事が出来た理由はいくつかある。剣装と言う特殊能力の持ち主が現れる事も理由の一つだが、特に魔王と勇者の存在が大きい。
魔物達は様々な特性を持つ。魔物の上位種族である魔族とて同様だ。人間と争うのと同じくらい、他の種族の寝首を掻く機会を伺っている。
故に、強力な魔王による力の支配こそが彼らを一致団結して人類への侵略に赴かせる方策であるのだ。
そして、魔王の出現に合わせるかのように人間側からも「勇者」と呼ばれる存在が現れる。神器と呼ばれる武具を手にした彼らにとって魔物は歯牙にもかからず、魔族ですら容易に屠られる。
そして魔王は屠られ、神器は力を失い、世界の均衡は保たれる。
……その連綿と続く伝説は、今再び魔王の復活という噂と共に繰り返されようとしていた。
作品名:レイジア大陸英雄譚序幕 作家名:ラルセト