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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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青い時の思い出

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広すぎる世界から
2人だけの世界になりたくて
辺鄙な民宿に宿をとった

蛍光灯は蛍の灯りの様に
つよく、よわくと
息をついていた

2人にとって
そんな事はどうでもよかった
灯りは必要ないのだから

小さな部屋であった
十分すぎる部屋でもあった
人間から開放された世界があった

川のせせらぎの音のなかに
流されていく息づかい
大胆になれた2人




雨戸の節穴から
灯りが差し込む
灯りの束の中に

朝を知ると
朝食が運ばれる
もう人の暮らす世界が来てしまっていた

短すぎたせせらぎの音
浴衣のなかの体のなかに
大切なものはその音は残されただろうか

眩しすぎる世界
その世界を生きていこうと
私服に着替えた2人は誓った



作品名:青い時の思い出 作家名:吉葉ひろし