青い時の思い出
2人だけの世界になりたくて
辺鄙な民宿に宿をとった
蛍光灯は蛍の灯りの様に
つよく、よわくと
息をついていた
2人にとって
そんな事はどうでもよかった
灯りは必要ないのだから
小さな部屋であった
十分すぎる部屋でもあった
人間から開放された世界があった
川のせせらぎの音のなかに
流されていく息づかい
大胆になれた2人
雨戸の節穴から
灯りが差し込む
灯りの束の中に
朝を知ると
朝食が運ばれる
もう人の暮らす世界が来てしまっていた
短すぎたせせらぎの音
浴衣のなかの体のなかに
大切なものはその音は残されただろうか
眩しすぎる世界
その世界を生きていこうと
私服に着替えた2人は誓った