1.叱る事と怒る事は違う
あなたは子供の頃、「○○しなさい」と言われて育ってきただろう。
確かに、子供を躾けるに際して叱る事は重要だ。叱られないで育った子などいないだろう。
しかし昨今、叱る事と怒る事を混同している親が増えているように思う。子供の為に叱るのではなく、自分の為に怒るのだ。
例えばある男の子がいたとする。
彼は優しいし良く気が付く、好奇心も強い物知りだが、身体が弱くて神経過敏、眠れない上に朝は起きる事ができない子である。
彼に対して「朝起きる事が出来ないから社会に適応できない。彼から情報を得る手段を奪おう」とするのが、果たして彼の為に「叱る」ということだろうか。
これは彼の為に叱っているのではなく、自分の為に怒っているだけである。
彼の為を考えるなら、彼の長所を失わせる事なく改善する方法として「家の中で彼に出来る事を探して手伝ってもらう、それが出来たらきちんと褒める」などの方法を取るべきだ。
「社会」という単語は、彼個人を見ていない証拠である。家族よりも社会を大切にする親に対して、彼は内心軽蔑しているだろう。
ましてや反撃できない立場を盾に理屈を並べ、反抗する事すら許されない言い方をするなど、言語道断である。
子供の頃から反抗期すら与えられなかった子がどう育つのか、想像できるだろうか。それは彼の人生を奪う事に他ならない。
子供は人形やサンドバッグではないし、親自身でもないのだ。
彼らに必要なのは彼らの人生を送る手助けであり、親が望む未来への道筋ではないのだ。
作品名:1.叱る事と怒る事は違う 作家名:ひなたりょう