Planet of Rock'n Roll(第一部)
「音楽才能発見器を使って睨み合っている三つの国それぞれに最高にイカしたバンドを作るのさ、それぞれのバンドがいがみ合ってる敵国でも人気になれば、何か平和を実現するきっかけくらいは掴めるかもしれないぜ」
「おお、それは良い考えだ、それが上手く行けば地球人はまた素晴らしい音楽を生み出してくれるに違いない、もし思うように行かなくとも我々はその三つのバンドの音楽は手に入れられるわけだ、『百利あって一害なし』だ、やってみてくれたまえ」
「了解だ、王様、出来るだけの事はしてみるつもりだ」
「健闘を祈る」
通信機を置いたボギーは、エルビスとマリリンに向かい合った。
「聞いてただろう? 一丁やってみようじゃないか」
「オーケイ! そいつはイカしてるぜ!」
「素敵! で、あたしたちはどうすれば良いの?」
「マリリンはアメリカに飛んでくれ、エルビスは中国、俺はロシアに飛ぶ、音楽才能探知機で才能あるメンバーを探して、彼らがバンドを組むように働きかけるんだ、それとなくな」
「おっと、ボギー、おいらからも提案があるんだが」
「何だ?」
「バンドのメンバー全部をこっちで選ぶことはねぇよ、まずは必要なのはリーダーだ、それとリーダーに匹敵する才能をもうひとつ付け加えられりゃゴキゲンだ、そいつがかつて地球で大成功したバンドの特徴ってもんだ」
「なるほど、確かにそうだな、ジョンとポール、ミックとキースの例がそれを証明してるな、マリリンもわかったか?」
「ええ、ベーブとルーもそうだったわ、それで、その二人分の才能を持ってたのがジョーよ」
「そいつはちと違うと思うがな」
「うふふ、わかってるわよ、ちょっとからかってみただけ、ププッピドゥ~」
「よし、連絡は密に取り合おう、俺たちの電波は地球人にはキャッチできないから安心だ、善は急げと言うぜ、早速散ろうじゃないか」
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
「やっぱり俺の目はどうにかなっちゃったらしい……」
三機の一人乗りアダムスキー型円盤が海中から飛び出して光速で東西に散るのを目撃した観測員は深いため息をついた。
「どうした?顔色が悪いぞ」
「どうやら働き過ぎらしい、今日はもう家に帰って休んでもいいかな?……」
(続く)
作品名:Planet of Rock'n Roll(第一部) 作家名:ST