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湯川ヤスヒロ
湯川ヤスヒロ
novelistID. 62114
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ユウのヒトリゴト[4]

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 2006年、春。ボクと同学年の人らはちょうど大学を卒業して、これから新社会人として一歩踏み出そうとしていたこの頃。大学へは進学しなかったボクは、生まれてからずっと暮らしていた京都を離れ、大阪でひとり暮らしをはじめていました。
 とは言うても、相変わらずマンガ家を目指しながら悪戦苦闘してる生活に変わりはないんですけど。

 そして相変わらずアルバイトをしながらの生活なんですが、この頃大阪というところで新しいバイトをはじめました。
 それはスイミングスクールのコーチです。子供たちに水泳を教える非常勤のアルバイトスタッフ。月曜から金曜の昼間、計4時間。1時間1枠のクラスで、1日2クラス。残りの2時間は監視員という交代制でやってました。
 入りたての頃は先輩コーチのサブとして、基本的に入りたての子や水に慣れてない幼稚園生から小学校低学年くらいの子らのクラスで、ボクも研修しながら教えていく感じ。
 そしてだんだん上のクラスを教えていって、この頃はチーフコーチとして17級~15級の子供たち…レベルで言ったら、ヘルパー無しクロール(息継ぎありの4回手回し)~ヘルパーありの仰向けバタ足のクラスを受け持ってました。人数はだいたい、1クラス7~10人くらいです。

 前にもお話した通り、ボクも子供の頃からスイミングに通っていて、中学高校も水泳部でした。せやから得意な水泳を活かせる仕事をしようと思ってやってみたんですが……まあこれが大変ですわ。
 ヤンチャ盛りの悪ガキばっかりやしなかなかいう事聞かへん。でもまぁ子供らがカワイイし、なにより3ヶ月に1度ある進級テストで、自分のクラスの子らが合格するのがなによりうれしかったです。でも正直しんどい。たった4時間のアルバイトのはずなんですが、毎日ヘトヘトになりながら帰宅してました。

 スイミングのコーチは1年くらいやって、いろんな子供たちを受け持ったんですが、この仕事で特に印象に残ってる子がいたのをボクは今でもよく覚えています。
 それはちょうど、ボクがこの春に受け持ってた17級のクラスにいた「俊矢」という男の子。この子はいわゆる、アスペルガー症候群……いや、ADHDやったかな? とにかく、そういう症状を持った子だったんです。
 今でこそ、このアスペルガーやADHDという言葉はよく認知されてますが、この頃のボクはそれが一体どういう子たちなのか認識が乏しく、ただただ他の子たちとは違う、なかなか言う事を聞いてくれない子だと手を焼いて、時に強く当たってしまうこともありました。
 いや、たぶん今出会ってても同じだったでしょうね。ボクはまだ子供がいないからどうしていいのかわからんし………でも、そんな俊矢も、ボクがコーチをしている間に16級まで進級してくれたのを覚えてます。
 俊矢は当時小学3~4年くらいやったから、今はもう20歳くらい。大学や専門学校に通ってるんやろうか? それとも自分の好きなこと、得意なことを見つけて仕事してるんやろうか? 大阪の十三にこのスイミングスクールは今でもまだあって、たまにここを通るたんびに、ふと当時の子供たちのことを思い出すんです。


 平日はスイミングスクールのコーチをやりながら、だいたい土日にマンガやイラストを完成させて投稿したりする。そんな毎日のくり返しでした。
 そして、この2006年の秋。ボクは今でも会えてよかった、繋がりをもってよかったと思える、とある大事な仲間たちと出会うことになるんです……