何時か終わることに、価値があるから、
止まることのない、時間の流れの中で。
後悔ばかりで溢れそうな過去を背に。
諦めるしか選択肢のない未来の目の前で。
私は狂ってしまったようだ。
何も理解しようとしない。
腐敗した感情しか流れ出ない。
一歩だけ、前に出てみた。
何もかも諦めたから大丈夫。
矛盾した自己暗示をかけて。
光が私を取り巻いた。
光った闇が、取り巻いた。
狂い、腐敗した感情が、
何時の間にか、止まっていた。
一歩だけ、後ろに下がってみた。
狂ってはいない私は、後悔などしない。
闇の光に包まれた自己暗示をかけて。
鳥が目の前を飛んでいった。
朱(あか)に染まった鳥が、目の前を飛んでいった。
何も理解しようとしない身体は、
すんなりと現実を受け入れていた。
理解の出来る身体を持った私は、
もう、過去に後悔などしない。
狂い、腐敗した感情の私はここには居ないから、
もう、未来は諦めない。
今はもう、過去も未来も、変わってしまった。
今は、今は、今、現在、この瞬間、この刹那。
この時間は、どう変わる?
この時間を、どう変える?
今は永遠。この時は変わらない。
いつまでも今で有り続ける。
『止まることのない、時間の流れの中で。』
『今』は、始まった。
今はもう、過去も未来も有りはしない。
終わった、物語。
作品名:何時か終わることに、価値があるから、 作家名:西秋 鏡夜