レイドリフト・ドラゴンメイド 第32話 攻め落ちる獣たち
通信係だけでなく、PP社員全員が敬礼で見送った。
「了解、お気をつけて! 」
それにつられたのか、カリスも敬礼した。
ボルケーナは岩の表面に人間態の顔をだし、笑顔を向けてから飛びたった。
大聖堂の、中枢ビルに向かって。
ボルケーナは、見た目は変わらないが振り返り、カリスを見た。
人間が、どれだけ変われるのか、という例を。
悲しい中間管理職。
出世できない、というより幸せになれないのでおかしくなったのか。
そう言う過去を想像しながら。
彼女ら地域防衛隊はベッドで避難民の報告を聞くやいなや、詳しく聴き出した。
そして猛スピードで廊下を駆け抜け、階段を駆け上がった。
分厚い鉄のドアの向こうは、あそこだった。
老人に手を貸し、怯えた子供に叱咤激励するチェ連の守り人達。
だがボルケーナには、その姿がどうしても虚勢を張っているようにしか思えなかった。
ついさっきまで病室でふさぎ込み、自殺騒ぎまで起こした姿が忘れられない。
彼女は義妹に、達美に与えられた屈辱を許したわけではなかった。
作品名:レイドリフト・ドラゴンメイド 第32話 攻め落ちる獣たち 作家名:リューガ