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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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ここに来た9 台湾 仇分

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9 九イ分(台湾)



台北から東の海沿いの山地にあるこの町は、かつては金鉱で栄えた。
資源が減り廃れていく中、古い町の雰囲気だけが残り、近年は観光スポットとして脚光を浴びることとなった。

曲がりくねった細い路地には、露店が立ち並び、どの店にも日本とは違う何かを売っている。
35度を越える炎天下でも、路地にはアーケードが張られ、店から漏れるエアコンの冷気のおかげで汗をかくことも無い。
観光客でごった返し、細かな物が溢れ、とても賑やかでテンションも上がる。

カラフルな団子や豆入りのカキ氷。
予想と違う味のアイスクレープ。
息を止めたくなる臭いの揚げ物。
民芸品も小さい物ばかり。
とにかく安いので、5m歩く度に足を止めてしまう。

先が見通せない路地には、この先何があるのか期待が膨らむ。
それが何であれ、買わないと損をしたような気になって、財布の紐が緩む心理は、ビジネスの参考にもなる。

高台から見下ろす海の景色は、日本と何も変わらない。
長い石段の途中、有名なお茶屋の雰囲気は、この町ならではの風景だ。
壁の黒と看板の赤が、建物の隙間から見える空とのコントラストで際立っている。

全体が巨石群の中にあるような閉ざされた町は今、混雑する人の流れで、道も建物も汚れがひどく、まるで使い古され錆びた道具のようなところだ。