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ビーコの話し

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昔々^^
東京大田区の爺ちゃんの家に、一羽の小鳥が飛び込んできたの
まだ大人になっていない鳥で、でもスズメがふくらんだときよりちょっと大きい感じの鳥で・・・

近所の小鳥とか餌とかを売っているお店に行って聞いてみたけど、そのお店の人もわからなくて
とりあえずは、すり餌を水でやわらかくして竹のへらみたいなのであげるようにと、すり餌と竹のへらと買ってきたの

鳥は最初は口を開かずにじっとしてたけど、何回もくちばしに餌を持って行くと、食べるようになって

みんな学校や会社に行っちゃうのに、いつまでも竹のへらであげてはいられないのに困ったねって言いながら家に居る誰かが餌をあげてたの

少しずつ大きくなって、あ~~良かったって^^
で、鳥かごにすり餌を水で柔らかくしたのをえさ箱に置いて様子を見ていたら自分で食べるようになって^^
そうしてみたのは私が家に一人で居たときで、食べられるようになったね~って^^

そのうち、鳥は大きくなって、尾羽が出てきた^^
図鑑で調べたら、オナガってわかった・・・

頭は真っ黒で、首のあたりから水色で、胸の毛は灰色で
長く伸びた尾羽は背中と同じ水色だけれど、先の方が白くなってて
その尾羽は身体より長いような羽で^^

町の小鳥屋さんでは野鳥のオナガの雛を見たことがなかったのかもしれない

小鳥が舞い込むのは、縁起が良い家っていうので幸せが飛び込んでくるって言うんだ・・・って爺ちゃんが教えてくれて

野鳥は、本当は飼っちゃいけないのかもしれなかったけど、オナガとわかったときには、もう手放せなくなってしまってて

爺ちゃんは、子どもの時から、ウグイスやメジロを飼ってきたって、私が子どもの頃には、黄色いカナリヤを飼っていて、コロコロコロコロ良い声で泣いてた^^

爺ちゃんはおみおつけに落とした卵や、ゆで卵を食べるとき、必ず黄身を少しとっておいて、黄色いカナリヤに食べさせてた

卵を産むと、偽の卵と取り替えて、卵を産み終えて、親鳥がちゃんと抱くようになると、本物の卵を抱かせて
何羽も雛を孵していたみたい^^

だからオナガが家に来たとき、鳥を飼うことには何も抵抗がなくて、それにずっと飼っていたネコたちもみんな居なくなって・・・

オナガは、グィーグィーと啼くのだけれど
ビーコと名前を付けた^^
ビーコはカゴの中に入れておいたら、カゴをぴょんぴょん飛んで、カゴから出たがってるみたいだったから、部屋の窓を全部閉めて、カゴから出してみたら、大きな羽を広げてスイスイ飛んだ

それからは、カゴに入っていると嫌がって
だから竹の結構大きめのビーコの為に買ったカゴはいつも入り口を開けておいて
出たり入ったりしていて

外から帰ってきたときには、ビーコが戸から逃げないようにと気をつけて

オナガはカラスの仲間だという、頭が良くて、すぐにいろいろな事を覚えるみたい

ご飯の時に、爺ちゃんが、テーブルの上に止まったビーコに、お豆腐をあげると
くちばしでお豆腐を壊さないようにそっとつまむの

お茶の時におせんべいをあげると
お水の入った入れ物におせんべいを浸して、ふやかしてから食べるの

お刺身は片足でつかんで、くちばしで引っ張って切るように食べるし
お肉も野菜も、何でも食べた

ビーコが飛んで止まるところに洋服ダンスがあって、その洋服ダンスに新聞紙を乗せておいたの、フンをするから

そうしたら、今は食べないという食べ物をその新聞紙の間に挟むように隠すの
あとでちゃんと忘れていないよっていうみたいにその新聞紙をくちばしで広げて開けて、とって置いた食べ物を食べるの

頭が良いねぇ~~って^^

でもね、私は、ビーコに頭を突かれるようになって
頭を足で蹴飛ばすように飛んだり、くちばしで突いたり

爺ちゃんや婆ちゃん達は、あんたがビーコに何かいじめるようなことをしたんじゃないの?って疑うようなことを言ったけど
私は可愛がることはあってもビーコに嫌われるようなことはしていないのに・・・
でもみんなは信じていなかったかも
私は、ビーコがえさ箱から自分で餌を食べられるようにしたことはあっても他には何もないのに・・・グスン

きっと、この家族で一番弱い立場の人を自分より下に見たんじゃないかって、これは憶測だけど・・・

砂浴びの砂を用意したり、水浴びをさせたり、家族中が、ビーコビーコって可愛がった^^
私は蹴飛ばされて、突かれて泣いてた^^だって、痛いんだから・・・

私の3人姉妹の一番上の姉が、赤い水玉の服地を買ってきて
スモックって言うのかな?水玉を4つ針でつまむようにかがっていくと、花模様になる
その花模様を何日も掛けてブラウスを作ってくれてた
胸の前の所だけが、スモックになっていて、他は水玉の半袖のブラウス

姉は洋裁を習った訳じゃなく本を見てしていたけど、私に作ってくれているのがわかっていたから、もうすぐ出来るって、楽しみにしていた

出来上がって、可愛い水玉の胸の所だけ小さいお花が一杯の半袖のブラウス、ハンガーに掛けておいた

そしたら、1度も着ないうちに、ビーコがそのブラウスの胸の所にフンをした・・・
そのフンはいくら洗っても落ちなくて、私は泣いて悔しがったけど、どうやっても隠せないところで、もう着られないって・・・
姉が手を掛けて作っていたのに、作り直すにしても一番大変なスモックのお花模様の所だったから・・・

でも、姉はなんにも言わなかった、ビーコに怒るようなことでもないし・・・

ビーコが家の子になったのは、確か私が中学生の時
何年居たのかな・・・
私が結婚をして家を出てから、ある日、ビーコが死んだと電話があった

この家にビーコの存在があまりにも大きくて、このビーコが居なくなるとき、みんなどんなに悲しむかと怖いような気持ちだったけど、電話の向こうで、大丈夫そうな姉の声がした

雛の時から人に食べさせて貰うことを覚えたら野鳥には戻れないからと、飼い続けたけど、本当に可愛がられて・・・

その後も、どこかでグィーグィーと鳴き声がすると、オナガだって目が行くし耳をそばだてちゃう

カラスと一緒で雑食性の鳥、何でも人と一緒に食べたり飲んだり
いつも肩にいたり頭にいたり、可愛い鳥だった・・・
私には痛い鳥だったけど^^;

ビーコが居たことがあったから、爺ちゃんは、その後10年もしてからだけど
チャボのコッコを家の中で飼っても平気だったんだなって^^
作品名:ビーコの話し 作家名:とことん