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「ウソツキ」
「なんだよ、藪から棒に」
「わからない？」
「ああ、わからないね、身に覚えがまるでない」
「わからないならいい……」
「なんだよ、隣どうしで幼馴染じゃないか、奥歯に物が挟まったような言い方はするなよ」
「でも、もういいの……」
「なんだかスッキリしないなぁ」
「結婚式はいつ？」
「3ヶ月後、7月だよ」
「招待してくれるんだ……」
「ああ、もちろん、だから招待状を届けに来たんじゃないか」
「アリガト……でも変な気分」
「どういうこと？」
「やっぱり憶えてないんだ」
「だから、何を？」
「幼稚園の頃の話、だからもういいのよ」
「幼稚園の頃？　何にも憶えてないよ、俺、なんか言った？」
「あたしをお嫁さんにしてくれるって言ったのよ……だから、ウソツキ……」
「……そんな小さな頃のこと……」
「ふふふ……今日は何月何日だっけ？」
「え？　4月1日……あ、そうか……」
「そういうこと、結婚式、楽しみにしてるわ……わざわざ届けに来てくれてありがとう」
「ああ、じゃあな」
「うん、じゃあね」

　ギィ……バタン。

「ウソツキ……」