華人に想う
雨後の野辺に流る川の如く細し
蝶の羽翼が様に緩慢に園を描く
触るる肌、厳冬が雪雨の冷たさ
弱弱しき腕の枯れ逝く木が如く
身の窶ること息絶うる鳥啼の様
僅か肋の浮きし様甚だしく妖艶
撫でるに微沙、絹、玉を感ずる
髪黒きこと咎人の心より著しく
流麗たること落つる山河より暢
溢るる大海より豊豊と潤を湛え
優艶たること黒曜、金剛に値す
戦ぐ風に踊ること柳葉の如きか
口の薄きは桜木に咲く花弁の様
又もって桃の薄紅が色香を呈す
愛嬌余り在る目、直視に耐えず
我が目伏して未だ嘗て遠望の中
優優と笑みを絶えず、酷く陽明
微かに怒りを呈し、僅かに否す
傍に或りて楽しきこと甚だしく
離して寂寂為ること弁舌持たず
嗚呼佳人、嗚呼夢人、嗚呼想人
淋淋為ること切切為ること度外
願わくば再びて貴女相ま見えん
以て其の一切語り聞き尽くさん
嗚呼華人、貴美今何処に在るや