小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

フィラデルフィアの夜に11

INDEX|1ページ/1ページ|

 
フィラデルフィアの夜に、針金が形作ります。
手が、その思い通りに。
手早く、素早く、曲げ、組み立てていきます。
願いを。

願いを、その形。
ベットを作っていきます。
綿埃を、寝るところに敷き詰めて。
テーブルを作っていきます。
錆びた鉄板を使って。
椅子を作っていきます。
針金を編み込んで。
ストーブを作っていきます。
赤い針金中に入れて。
その他、日々意識なく使うだろう物品。
そして人を、作っていきました。
多くの、多くの。
落ちていた何かの骨を、体の各所に。
生きていると言いたいのか。
それは、大量に。

 手が、手早く、素早く、動いていっていました。
それはきっと目にも止まらなかったのでしょう。
朝日が差した、小道。
不法投棄の山があったそこ。
 ベットが、テーブルが、椅子が、ストーブが、物品が、人が。人々が。
敷き詰められていたのです。

 それは、骨の欠片を体のどこかに持つ多くの人形たちが、平和に日常を送っている。
街を形作っている。
そう思える光景でした。
ただしかし、どこから、誰の骨なのか。
 人形の骨を、集め、パズルのごとく組み立てました。
人。
一人の誰か分からない、古い古い骨が現れました。

 誰がこの骨を。
どうやって一晩で、この針金の街を。

 なにもわからないまま、骨は埋葬されました。

 ただ唯一、両手だけがどこにも存在しなかったといいます。

 針金の街は誰にも見せる事なく保存されます。
人形の骨が使われた部分には、プラスチックで。

 その保存された箱の暗闇の中、両手は人知れず、針金を。
手早く、素早く、曲げ、組み立てていきます。

 あの骨となった人間の、願望を表すために。