フィラデルフィアの夜に6
黒い肌の少年の近くに火は迫っており、その目には友達が映っていました。
木片に細い針金を巻き付けたり、雲のように塊にしたり、太い針金を籠状にしてその中に物を入れたりした、人型の針金の。
彼の秘密の友達の。
火が近づいてます。
煌々と照らして。
彼と友達に迫って。
それは捨てられていた物。それに呼び止められて、それの希望通りの形をあげた物。
それは頭に浮かんだもの。夢の中で見て、その形を表した物。
それは独りでに生まれた物。導かれるように、手が動いて、生まれてきた物。
そして、誰にも知られてはいけない、友達。
ベッドの下から出して、佇む。
やっぱり行けない。さよなら。忘れないで。
聞いたのは、そんな言葉。
少年は駆け出す。
一瞬振り返りながら。
それから少しして。
少年がいた建物は、ガスが洩れて、爆発しました。
小さな手が、隙間に手を伸ばします。
見つからないように、彼らはみんな、隠して。
それらは焼け焦げた、不思議な針金の人形で。
多くの子供が、一つずつ友達としたのです。
小さい子供たちだけに伝えられる、友達。
それは奉られるように隠され、年下から年下へと渡されます。
大人には不気味にも見える友達。
でも不思議に引きつけられ、暖かみを感じさせる。
黒い肌の少年の友達は、これからも誰かの友達だったのです。
作品名:フィラデルフィアの夜に6 作家名:羽田恭