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詩集

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ありがとう

長姉にお誕生日おめでとうと言ったら
この年でおめでとうなんて言わないで
お誕生日なんてめでたくない
生まれてきたくなんかなかった
と言われたと母が言う

お誕生日おめでとう
おめでたくなんかないか?
と母が言うから

ありがとう
そんなこと無いよ
生んでくれてありがとう
生まれてきて良かったと思ってるよ
幸せだから

そんなこと言ってくれるのはあんただけだね…
泣いてるような母の声

言えて良かった、ありがとうって
それから三ヶ月…

母の煮た蕗を食べて
母は、金目の煮付けを食べ終わって
私が実家を出て1時間半後
母がちょっと眠るからと横になったベッドで
亡くなっていたと電話が入った
母は83歳…

もう、誕生日ごとにおめでとうの電話はかからない
その時、母が亡くなったと実感するのかもしれない

作品名:詩集 作家名:とことん