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Bの文体

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 だが男の携帯が鳴ることは、一度も無かった……
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 気が付くと、私の生き方は変わっていた。
 企業相手の金儲けの主義の様な依頼は断るようになり、、
 暴力団相手の訴訟に勤めていた。。




 私は、やれるだけの方法を使い、片っ端から暴力団の摘発に人力を注いだ。
 そうしていれば、いつか彼女の手がかり得られると思ったのだろう。
 まるで愛しき人を助けるかの如く、男は、その仕事に力を注いだのであった・・・

 そしてその過程で、ついに彼女へと繋がる手がかりを見つけた。
 

~刑務所の中で、あると囚人と2人きり~

 囚人は、暴行、窃盗、覚せい剤、等、あらゆる犯罪を犯していた。
 私は今回、この暴力団関係者の囚人から情報を聞き出そうとしてたのだが、相手にされない。
 囚人は、ただ、のらりくらりと、話題を摩り替えるだけであり、一向に目的とした情報は得られなかった。

 囚人は、暴力団とは全く関係の無い思い出話に花を咲かせて酔っていた。
 「俺は、結構、モテてたんだぜ~~!」
 囚人は、麻薬の禁断症状があるのか、視線が定まっていない。
 言葉選びも論理的な思考をしていなく、ブツブツ独り事を喋っている様な感じである。
 だが、囚人の発したある言葉に、私は硬直したのである。
 その言葉の中に、失踪した彼女を連想させるワードがいくつも入っていたのだ。
 そして確信を持ったのは、この囚人の顔だった。
 丸刈りで、一見すると、判らなかったが、わたしの顔にソックリであったのだ。
 
 彼女が私を恋人と勘違いして刺してしまった事実・・・
 そして、囚人が発するこの言葉・・・
 それらを考慮すると、この囚人が、彼女の恋人であったのは明らかだった。

 「あの女は、俺にぞっこんだったから、いいなりだった。
  紹介した風俗店で俺の為にしっかりと稼いでくれた。
  いいヒモだったんだが、一体どこに逃げたんだろうな。
  惜しい事をしたなーーーーー」

 彼女の苦しみが、私に流れ込んできた。
 彼女は、最後まで、この腐りきった男を愛そうとしていた。。
 無理やり働かされ、追い詰められ、心中まで図ろうとした。

 殴ってやりたい。殺してやりたい。
 けど奴は、壁の向こう……
 私は怒りをこらえるのに必死だった。

 その日から、私は、自分の顔が嫌いになった。
 鏡で自分の顔を見ると、激しい憎悪にとりつかれ、気が変になりそうだった。

 そんな時、テレビで、ある小説家を見た。
 その小説家は、バレエティー番組で話をしていた。
 その話の内容に私は共感した。
 彼は、私と同じ信念の持ち主であり、私以上に強い信念を持っていた。
 私は、彼の虜になり、この忌まわしい自分の顔を整形して彼とソックリに作り変えた

 それからの私は、今以上に仕事を懸命にやった。
 いつか、彼女が助かる日を信じて……



 そして……
 

 お前達、覚えておけ…… 

 私の名は…

 「常雄右腕」  
 
 暴力団組織を潰す者である―――
作品名:Bの文体 作家名:西中