Aの文体
「あの女は、俺にぞっこんだったから、いいなりだった。
紹介した風俗店で俺の為にしっかりと稼いでくれた。
いいヒモだったんだが、一体どこに逃げたんだろうな。
惜しい事をしたなーーーーー」
彼女の苦しみが、私に流れ込んできた。
彼女は、最後まで、この腐りきった男を愛そうとしていた。。
無理やり働かされ、追い詰められ、心中まで図ろうとした。
殴ってやりたい。殺してやりたい。
けど奴は、壁の向こう……
私は怒りをこらえるのに必死だった。
その日から、私は、自分の顔が嫌いになった。
鏡で自分の顔を見ると、激しい憎悪にとりつかれ、気が変になりそうだった。
そんな時、テレビで、ある小説家を見た。
その小説家は、あるバレエティー番組で、話をしていた。
その話の内容に私は共感した。
彼は、私と同じ信念の持ち主であり、私以上に強い信念を持っていた。
私は、彼の虜になり、この忌まわしい自分の顔を整形して彼とソックリに作り変えた。
それからの私は、今以上に仕事を懸命にやった。
いつか、彼女が助かる日を信じて……