それでも太陽は赤く染まる!第7回「新入生たち!」
体育館での朝礼は新入生や在校生代表による歓迎の言葉や決意文など去年ひとしたちがしてきたこととあまり変わらなかった。
外から桜の花びらが舞う、穏やかな空気の漂う始業式。
76名の新入生たちと新任の先生方を校長先生が紹介しているなか、ひとしは無意識にさやかがどこにいるか目で追ったりと担任に見つからないように腰をかがめてみたりしてみたが、沢山の制服姿にまぎれて結局どこにいるのか見つけられなかった。
前の方で少し落ち着きのない男の子がきょろきょろと周りを興味深げに見回している様子が見えたが、まだ小学生離れしていない子供なんだなと1人無表情で納得するひとし。
その時、何気に先ほどのさやかとの会話を思い出して。
ひとし
「そういえば、入学式の日って役員以外、在校生は全員参加じゃなかったような気がする・・・。インフルエンザでずっと休んでたから確かな事は分からないけど。始業式の日時だけは学校から電話があったってお母さんから聞いて知ってたけど。でも僕が去年入学式の時在校生なんてほとんどいなかったからそんな気がする。だとしたら僕がいなくたって当たり前じゃん。(-_-)さやかのやつ早とちりしたな。それとも今年から全員参加になったとか!卒業生を送る時は全員参加だったし・・・。もう、どうだっていいか・・・。」
やりきれなく再び心の中でくだらない事をつぶやくようにため息をもらすが、同時にみんなの歓迎の拍手の音にまぎれてそのため息はむなしくかき消されてしまう。
ひとしはなんだか自分の存在もかき消されてしまったような気分になっていた。
作品名:それでも太陽は赤く染まる!第7回「新入生たち!」 作家名:ワタリドリ