新連載!「歴女先生教えて~パート2」 第一話
「はい、殆ど母が世話をしていました」
「そうなのよね。私も母に預けて学校に来ているから同じだわ」
「ご主人はどんな人なんですか?」
「そうね、聞かれると思ったわ。驚くでしょうけど14歳年下で、今年成人式をしたばかりなの」
「ええ~本当ですか?」
クラスは騒然となった。
「さて、その話はまたの機会にします。今日は教科書を開く前に言っておきたいことがあります。それは、世界史というのはどういうものかという事です。日本史でもそうなのですが、歴史とは人の歴史です。世界史も人類が主人公です。なので、今日は簡単に人の誕生から話したいと思います。まずね、人類の祖先って解る人?」
「猿ですか?」
少し笑いが起きた。
「猿の惑星っていう映画があったわよね。猿と人間は霊長類というすみ分けをしているけど、猿が進化して人間になった訳ではないの。共通の祖先をもつ霊長類の中から分化して現れた生物種が人間の祖先よ」
「安心しました。猿とは違うと解って」
また笑いが起きた。
「共通の祖先から分かれたのが2500万年前ぐらいだといわれているの。類人猿と呼ばれる種だった。そこから700万年ほど前に人類の祖先と認識できる分化があって、350万年ほど前に猿人と呼ばれるアウストラロピテクスが登場する。中東アフリカで見つかった女性の個体はルーシーと名付けられたの。
猿人が猿と違うのは直立二足歩行をする点ね。二本足で立つという事は、空いた前足(手)に何かを持つことが出来るという事になり、道具の使用が可能になるというメリットが出来たの。あと一つは、脳が大きくなることが出来たという事。四つ足で歩く場合は首が水平方向から頭を支えないといけないので、重くなると歩きにくくなる。猿人ではまだそれほどではないけど、後に現れる直立原人は脳が猿の二倍以上の体積があったと言われているの」
「脳みそが大きくなり、手を使うことで、人類は猿とは桁違いに進化したという事ですね?」
「望月さん、そうよ。200万年ぐらい前にはホモ・ハビリスという初めてヒト属(ホモ属)に属する種が現れたの。彼らは石器を使い他の動物を素手とは比べ物にならない程容易に殺傷する力を得たのね。この後に進化したのは原人と呼ばれる種だった。ホモ・エレクトウスと呼ばれ、前に話した猿人のアウストラロピテクスが身長140~150㎝程度だったのが、160~180㎝ほどあったと言われるの。初めてのホモ・エレクトウスの化石はジャワ島で発見された。これがジャワ原人と呼ばれ、アフリカを越えてアジアまで広がったのは原人が最初だったらしい」
ここで終業のベルが鳴った。
注:世界史の資料は、出口治明氏著書の「全世界史」講義を参考にしています。
作品名:新連載!「歴女先生教えて~パート2」 第一話 作家名:てっしゅう