「親はデブと甲斐性なし」
天使は天界で一人になり、途方に暮れていた。悪魔と戦う為にリンゴをひと口齧り、創造主の力を得て、地球人に転生した。
悪魔も天使も転生のルールに従い天界での記憶を失う事になる。
悪魔は人として生まれて、まともに育つ事もあったが、超能力者として、あるいは魔法使いとして、異端な存在として扱われる。
時に、怒りで力を爆発させ、天変地異を起こしたりもした。
天使はいつの時代も、悪魔の気まぐれの力に翻弄された。
リンゴで得た力は悪魔よりも小さく、テレパシーと少し先の未来を見るしか力がなかった。
天使も悪魔も
人との間に子供を作り、超能力を子孫に伝達させた。
紀元前一万年ごろ、地球人の多くが何らかの超能力を持っていたが、天使も悪魔も現世にいる間は、天界での記憶を失う。、超能力について、産まれる度に1から学んでいた。
地球は宇宙全体から見ると希少性イレギュラーなる惑星だった。超能力が使える人々の存在や情報は瞬く間に宇宙人種に伝わり、地球人の解明がなされた。
宇宙人達は地球人達の超能力を欲しがり、地球人達の細胞からDNAを解析して、力の核となる元を見つけようとした。
しかし、宇宙人達の科学力をもってしても解明できなかった。
宇宙人達は止む負えず人間の脳内に自身の意識(脳内記憶)をコピーする事で、地球人の能力を得た。
目的を達成した宇宙人は宇宙に帰るか、あるいは地球人として生きた。
地球人の研究を進める過程で、地球人から前世の記憶を発見した。宇宙人達にとっては、それは常識的に有り得ない事であったが、天使と悪魔の存在を見つける事で一気に謎が解明される。
前世の記憶が脳の奥深くに眠る原因は、創造主の力の欠片が作用しているからで、宇宙人達は宇宙のどかに存在する創造主を探すとともに、天使と悪魔の行動を常時監視するようになる。
紀元0年頃には宇宙人達は超能力ある肉体を奪い尽くしていたから、地球人で超能力の使える者の存在は、皆無だった。
その頃、天使はエジプトの女王クレオパトラに転生していた。
天使が王に転生したのは偶然ではない。。
悪魔の差し金である。
宇宙人達は大きな力を持つ悪魔の前世の記憶を呼び起こした。リンゴの副作用だった精神崩壊も脳を弄る事で解決していた。
悪魔には創造主の力がある。宇宙人達は結託していて、魂の実験を行ってみた。
悪魔はまず、天使の魂をクレオパトラに入れて、その存在が社会にどんな影響を与えるか実験した。
次に、人間の中から魂がもっとも美しい魂を選び、クレオパトラの子供に転生させた。宇宙人達の力を借りて人工妊娠させたから、クレオパトラは、世の中で、ふしだらな女と揶揄され、
その子供も肩身の狭い思いをした。
次に生前の魂が絶望の中で死ぬと、魂の輝きは失われるのか実験した。
ローマを使い戦争を仕掛けてエジプトを崩壊させた。
実験の結果、魂の質は変わらなかったが、2度目の、実験で、最も美しい魂があの世に行かない珍事が起きた。
キリストに入っていた魂だが、人々魂と共鳴を起こして、本来あの世で悪魔に捕獲させるところを飛び越えて、遥彼方に飛んでいった。
キリストの魂は、天界やあの世とも違う、唯一誰も知らない『白い世界』にたどり着いた。なぜ誰も知らないのに知ると事になるかというと、
白い世界で一人ぼっちだったキリストは寂しさに耐えきれずに、自ら地球に戻ってきた。
その時、日本は室町時代で、悪魔は実験を続ける為に、キリストの魂を天皇の子に入れた。前回と同じように母親は天使の魂をもつ。天使と綺麗な魂、2つを効率良く観察するため、悪魔はあえてこの組み合わせを選んだ。
悪魔は、魂の実験から、1つの仮説を見つけた。
『カルマシールド』という地球を覆うシールドの事で、創造主が予め作って置いたものだった。
悪魔が善行を成し遂げ、過去の罪を償い、カルマを達成したとき、宇宙に自由に飛び立てる仕組みである。キリストの魂は善行を行い多くの人のカルマを代わりに達成したから、シールドを、超える事ができた。
キリストの魂が白い世界に行けたのは、
その時代にキリストが善行を行ったからである。そう推理した悪魔は、もう一度ど白い世界にキリストの魂が行けるか試した。
キリストは千菊丸に転生した。
室町時代は悪魔が作り上げた戦国時代、応仁の乱等で、沢山死者を、生み出した。
キリストが生まれ変わった千菊丸は天皇の政権争いに巻き込まれ、寺に捨てられるが、 仏教の力で人々の悲しみを癒し、後に一休宗純に名を変え、仏教世界の重鎮となる。
そこまでのシナリオは全て悪魔が意図的に作り出した。キリストも一休も宇宙人達の技術で、都合良く脳内を弄られたから、善行をする事ができた。
宇宙で最も美しい魂は、またもカルマシールドを飛び越えて、白い世界に辿りたいた。
悪魔の想定では魂はまた白い世界からまた戻る筈だった。だが、それでは面白くない。魂の実験は終わってしまう。
悪魔は一休宗純の魂がカルマシールドを超える前に、白い世界に行っても前世の記憶を維持できる様に手を加えた。。
一休は 室町時代の戦国地獄を味わった、その記憶持ったままで、果たして人間に生まれ変わる度胸はあるのか、人の道を選ぶのかどうか試した。
悪魔の読み通り、一休は地球に戻らなかった。時代が、安全になる様に進歩するまでは、戻らないつもりだと、判断した悪魔は
一休の求める世界を作り出した。
見せかけの幸福世界で、その裏には、戦国時代と同じくらいの不幸な出来事がある。そんな嘘まれの世界を生み出した。
一休は幼少期に母親に引き離させていたから死んでも尚、母親に飢えていた。
.悪魔は一休が望む母親を用意して、転生を誘った。一休が、生まれ変わった時代は第二次世界大戦から60年たった広島である。平和があたり前になった時代に転生した一休は、転生した瞬間から地獄を味わう。
悪魔の魂実験は次の段階に進んでいる。
今度は、善行をさせて人を導く様な都合の良いシナリオは用意してない。純粋なるゲームを仕掛けた。
悪魔は転生者の母親を天使にした。今世の天使には宇宙人達の技術を使い、40億年分の前世の記憶を呼び起こしさせた。悪魔と戦っていたいた時代から、現代に至るまで、輪廻を繰り返した記憶を殆ど全て蘇らせた。
宇宙人達と悪魔にとっての余興である。
悪魔も宇宙人達も期待している。母親が息子に対してどう行動するかを観察し、息子が世界にどのような影響を与えるのか、見物している。
悪魔が期待しているのは、天使とその息子が悪魔と宇宙人種の真実に気付いた後からである。
地球の上を覆うカルマシールドがある限り、地球人の魂は全て悪魔の支配下にある。このままでは、未来永劫、人々の魂は悪魔に弄ばれる。
それを脱する唯一の方法は、人々が前世を含めた過去の罪を清算して、カルマシールドを、超えて白い世界に行くしかない。白い世界に多くの人々を連れていけたら、寂しくないはずであり、悪魔の手を逃れた人間達の勝利だ。
悪魔は退屈凌ぎの果てに、人類に、絶対的な最後のチャンスを与えた。この機会を逃した人々には地獄しか待っていない。
どんな地獄が待っているか、
作品名:「親はデブと甲斐性なし」 作家名:西中