村上春樹な文体を真似してヤクザ小説を書いてみた。
麻薬をやりながらゲームをする。それが憩いの時間だとは人に言うことはできない。けれども今日は麻薬の良さを人に惜しげもなく語ってる。マリファナやスピードの良さをあれこれと語るうちに自身が一般人になりきっている状況を忘れている事に気づいてしまう。できれば気づく前に悔い改めたかった…
いずれ自身が犯罪者であるのは仲間にバレてしまうことだった。悲観的に受け取とらなくていい。あくまで自分はヤクザ者であるのだから、価値観が一般人と合うことはないのだ。仲間意識を求めて馴れ合うのは常識に合わないものだろう。所詮はゲームなのだから、ゲーム仲間が一人減ったくらいで、悲しむ必要なんてない。仲間がいなければ、またイチから作ればいい。それがネットの利点だし、匿名なのだから気兼ねする必要なんてない。ネット世界は簡単に出会いの行動ができるのから。
オンライン型のMMORPGにはまったのは結構前のことだ。五感全てを使って電脳世界に入り込んで遊ぶゲーム、巷では「ゲームとリアルの世界が区別がつかないゲーム」とか「仮想現実ゲーム」「VRゲーム、バーチャルリアリティ」と評される。ゲーム機械が脳に電気信号を直接送ることで、あらゆる幻をプレイヤーに魅せる。恐怖、快楽、記憶も自在に機械が操る。ゲームが与える偽の体験記憶が、プレイヤーに幸福をもたらす。虚構の中で遊ぶこと、虚構の中でも幸せになれること、VRゲームの重要性について、この時代の人々は忘れている
このVRゲームの初期構造は、『人体体験システム』
このシステムは元々、実生活が不便な障害者の為に開発されたシステムだ。手の無い者、足の無い者、目の見えない者、障害者たちにとって多くの健常者が体験している行為は諦めないといけない。だが『人体体験システム』さえあれば脳の世界に人間らしい自由を求められる。
VRゲームの本来の役割として人体体験システムが根っこある、私を含めた多くの現代人にとって、そんなバックストーリーは、どうでもいいに違いない。重要なのは自身が快楽を得られるかどうかで、VRゲームを必要とするかどうかの問題でしかない。私もその他大勢も、細かい事は考えずに電気信号に身を任せる日々に価値を見出している。多くの者が仕事をしない時間にバーチャルな世界に入り込み、現実を捨てる。
インドア派もアウトドア派も余暇はVRゲームを楽しむ。多くの人が麻薬に依存するかの様にゲームに依存する。
現実世界では「麻薬に毒されたヤクザ」、それが私の正体である。麻薬を売りつつ組織の為に生きる。組のシノギである麻薬に手を出している私は、麻薬をやりながらバーチャルゲームの世界に入り込む。脳神経に作用するゲームだから、麻薬で脳が毒されてると、正常な思考が働かなくなる。ネットで知り合ったゲーム友達の前で、私は醜態を晒した。ある意味、酒の席で裸になる様な愚かな行為である。つまり私はネット友達の一般人に自身がヤクザであることを語り、縁を切られた。自己責任だと言ってしまえばそれまでだが、醜態を晒したのは不本意であるから、私はウジウジとネットの友人を失った件を引きずっていた。全ては麻薬が原因であるし、麻薬さえ使わなければ良いというだけのはなしだ
麻薬は良くない。頭ではわかってる。しかし、止められないのだ。
「なあ、おまん、VRゲームやっとる言うとったなぁ」
突然、組長の接待ゴルフに呼び出しされた私、昨日の夜、覚醒剤を使って疲れていたから眠い。
「おまん、うちで扱っとる麻薬、VR使って売れるか?」
組長が言っているのはネットを使って麻薬を販売できるか、という意味だろう。
「勿論、できますが…」
やろうと思えばできる。不可能ではない。そんな意味で答えたつもりだった。
「よし、じゃあ、今から組の1つをお前にやるから、好きにやってみろ!」
組長は本気で言っている。暴力団の組長が、やれというなら、断る権利があるはずも無い。二つ返事で了承したのは、止むえないとして、失敗したら止むえないなんていう言い訳は通用しない。成功しないならまだしも、逮捕される様な事態になれば口封じに殺されるだろう。一旦出来ると言ってしまったから、少なからずの成果を出さいといけない。
できない言い訳を考えるべきだったかも知れないが、出世する野心もあったから断わる理由はなかった。
組長から与えられた組は平井組平井一家、構成員30人程度の小規模暴力団である。小規模故に世間にはあまり知られてない。検索しても多くの情報は出てこない。
『世間で目立ってないからこそ、悪さをしても自由に動き回れる』
麻薬の密売拠点として平井組平井一家は影なから親分である山口組を支えている。VR世界で麻薬を売る前に、まずは組員達の情報を頭にインプットしなければならない。
直属の部下となるのがマサシ。マサシは平井組の古参であり、平井組の内情を一番知る人物だ。部下だからいって、下に見てはいけない。30人のヤクザを纏めあげているのだから、暴力に精通している。ましてや違法なビジネスに関わるのであるから、親組からしてみれば平井組はトカゲの尻尾である。いつでも切れる準備がある。それだけに、平井組は本家山口組に対して不信感が強い。山口組から派遣された私の事なんて内心では親分だと思ってないだろう。もし、私がヘマをすれば多くの恨みを買う筈で、致命的な失敗をすれば恨みを買ってしまい殺されかねない。
注意するべきはマサシだけではない。平井組の元党首である原誠司だ。原は組を引退して道楽を追求して、売れないお笑い芸人になっている。ヤクザ仲間を引き連れてトリオを結成している。
原は、平井組の活動に口を出せる立場ある。私とは兄弟盃を交わしているから、口を出さない筈がない。原誠司はヤクザの中でも特に規律と上下関係に厳しい。原誠司の機嫌を損ねてしまえば、このビジネスから降ろさせて貰えるだろうが……
原誠司=原の兄貴=平井組の元頭=サラリーマンでいうと引退した社長。平井組には他に部長や課長なる幹部の地位の人がいたが、原の兄貴は二人を引き連れ吉本〇業に入所した。
「おう! よく来た!」
原誠司は大きな声で寺井を迎えた
「組の細い事はマサシに聞けばいいとして」
マサシは本家の会合で酒の席で何回か会ったことあるだけで、殆ど喋った記憶がない。眼の下に大きなクマあり、薬物中毒になってる恐れがある。マサシはこれから平井組の実質ナンバー2になるわけで、兵隊組織の成り上がりの猛者だろうから、性格もキレやすいはずで、扱いは慎重にしないといけない。
マサシの本名は根岸あきひと、というが、どうせ偽名だろう。偽名を使うのは仕事柄仕方ないことであるが、仲間内ではこの名前では呼びあわない。もし、どこかの面倒な敵対ヤクザに呼びあってる名前が漏れると、身元がバレかねない。警察にも手掛かりを与えかねない。特に平井組は現場主義だから名前ひとつ、あだ名ですら、徹底的にルールを守っているはずで……
マサシは言った
「大作さん、宜しくお願いします!」
「おいマサシ! 何か勘違いしてないか?」
いずれ自身が犯罪者であるのは仲間にバレてしまうことだった。悲観的に受け取とらなくていい。あくまで自分はヤクザ者であるのだから、価値観が一般人と合うことはないのだ。仲間意識を求めて馴れ合うのは常識に合わないものだろう。所詮はゲームなのだから、ゲーム仲間が一人減ったくらいで、悲しむ必要なんてない。仲間がいなければ、またイチから作ればいい。それがネットの利点だし、匿名なのだから気兼ねする必要なんてない。ネット世界は簡単に出会いの行動ができるのから。
オンライン型のMMORPGにはまったのは結構前のことだ。五感全てを使って電脳世界に入り込んで遊ぶゲーム、巷では「ゲームとリアルの世界が区別がつかないゲーム」とか「仮想現実ゲーム」「VRゲーム、バーチャルリアリティ」と評される。ゲーム機械が脳に電気信号を直接送ることで、あらゆる幻をプレイヤーに魅せる。恐怖、快楽、記憶も自在に機械が操る。ゲームが与える偽の体験記憶が、プレイヤーに幸福をもたらす。虚構の中で遊ぶこと、虚構の中でも幸せになれること、VRゲームの重要性について、この時代の人々は忘れている
このVRゲームの初期構造は、『人体体験システム』
このシステムは元々、実生活が不便な障害者の為に開発されたシステムだ。手の無い者、足の無い者、目の見えない者、障害者たちにとって多くの健常者が体験している行為は諦めないといけない。だが『人体体験システム』さえあれば脳の世界に人間らしい自由を求められる。
VRゲームの本来の役割として人体体験システムが根っこある、私を含めた多くの現代人にとって、そんなバックストーリーは、どうでもいいに違いない。重要なのは自身が快楽を得られるかどうかで、VRゲームを必要とするかどうかの問題でしかない。私もその他大勢も、細かい事は考えずに電気信号に身を任せる日々に価値を見出している。多くの者が仕事をしない時間にバーチャルな世界に入り込み、現実を捨てる。
インドア派もアウトドア派も余暇はVRゲームを楽しむ。多くの人が麻薬に依存するかの様にゲームに依存する。
現実世界では「麻薬に毒されたヤクザ」、それが私の正体である。麻薬を売りつつ組織の為に生きる。組のシノギである麻薬に手を出している私は、麻薬をやりながらバーチャルゲームの世界に入り込む。脳神経に作用するゲームだから、麻薬で脳が毒されてると、正常な思考が働かなくなる。ネットで知り合ったゲーム友達の前で、私は醜態を晒した。ある意味、酒の席で裸になる様な愚かな行為である。つまり私はネット友達の一般人に自身がヤクザであることを語り、縁を切られた。自己責任だと言ってしまえばそれまでだが、醜態を晒したのは不本意であるから、私はウジウジとネットの友人を失った件を引きずっていた。全ては麻薬が原因であるし、麻薬さえ使わなければ良いというだけのはなしだ
麻薬は良くない。頭ではわかってる。しかし、止められないのだ。
「なあ、おまん、VRゲームやっとる言うとったなぁ」
突然、組長の接待ゴルフに呼び出しされた私、昨日の夜、覚醒剤を使って疲れていたから眠い。
「おまん、うちで扱っとる麻薬、VR使って売れるか?」
組長が言っているのはネットを使って麻薬を販売できるか、という意味だろう。
「勿論、できますが…」
やろうと思えばできる。不可能ではない。そんな意味で答えたつもりだった。
「よし、じゃあ、今から組の1つをお前にやるから、好きにやってみろ!」
組長は本気で言っている。暴力団の組長が、やれというなら、断る権利があるはずも無い。二つ返事で了承したのは、止むえないとして、失敗したら止むえないなんていう言い訳は通用しない。成功しないならまだしも、逮捕される様な事態になれば口封じに殺されるだろう。一旦出来ると言ってしまったから、少なからずの成果を出さいといけない。
できない言い訳を考えるべきだったかも知れないが、出世する野心もあったから断わる理由はなかった。
組長から与えられた組は平井組平井一家、構成員30人程度の小規模暴力団である。小規模故に世間にはあまり知られてない。検索しても多くの情報は出てこない。
『世間で目立ってないからこそ、悪さをしても自由に動き回れる』
麻薬の密売拠点として平井組平井一家は影なから親分である山口組を支えている。VR世界で麻薬を売る前に、まずは組員達の情報を頭にインプットしなければならない。
直属の部下となるのがマサシ。マサシは平井組の古参であり、平井組の内情を一番知る人物だ。部下だからいって、下に見てはいけない。30人のヤクザを纏めあげているのだから、暴力に精通している。ましてや違法なビジネスに関わるのであるから、親組からしてみれば平井組はトカゲの尻尾である。いつでも切れる準備がある。それだけに、平井組は本家山口組に対して不信感が強い。山口組から派遣された私の事なんて内心では親分だと思ってないだろう。もし、私がヘマをすれば多くの恨みを買う筈で、致命的な失敗をすれば恨みを買ってしまい殺されかねない。
注意するべきはマサシだけではない。平井組の元党首である原誠司だ。原は組を引退して道楽を追求して、売れないお笑い芸人になっている。ヤクザ仲間を引き連れてトリオを結成している。
原は、平井組の活動に口を出せる立場ある。私とは兄弟盃を交わしているから、口を出さない筈がない。原誠司はヤクザの中でも特に規律と上下関係に厳しい。原誠司の機嫌を損ねてしまえば、このビジネスから降ろさせて貰えるだろうが……
原誠司=原の兄貴=平井組の元頭=サラリーマンでいうと引退した社長。平井組には他に部長や課長なる幹部の地位の人がいたが、原の兄貴は二人を引き連れ吉本〇業に入所した。
「おう! よく来た!」
原誠司は大きな声で寺井を迎えた
「組の細い事はマサシに聞けばいいとして」
マサシは本家の会合で酒の席で何回か会ったことあるだけで、殆ど喋った記憶がない。眼の下に大きなクマあり、薬物中毒になってる恐れがある。マサシはこれから平井組の実質ナンバー2になるわけで、兵隊組織の成り上がりの猛者だろうから、性格もキレやすいはずで、扱いは慎重にしないといけない。
マサシの本名は根岸あきひと、というが、どうせ偽名だろう。偽名を使うのは仕事柄仕方ないことであるが、仲間内ではこの名前では呼びあわない。もし、どこかの面倒な敵対ヤクザに呼びあってる名前が漏れると、身元がバレかねない。警察にも手掛かりを与えかねない。特に平井組は現場主義だから名前ひとつ、あだ名ですら、徹底的にルールを守っているはずで……
マサシは言った
「大作さん、宜しくお願いします!」
「おいマサシ! 何か勘違いしてないか?」
作品名:村上春樹な文体を真似してヤクザ小説を書いてみた。 作家名:西中