師匠と弟子と 9
「わあ~思ったより片付けているのね。もっと散らかっていると思ってた」
紅茶を飲んでプリンを食べて片付ける。梨奈ちゃんが片付けてシンクで洗って食器籠に伏せておいた。その後二階の俺の部屋に行き扉を開けた時の第一声だ。
「ではお掃除させて戴こうかな。普段着で良かったかも」
梨奈ちゃんはそう言うとカーデガンを脱いで、ブラウスの腕をまくると
「ねえタオルがあれば二枚くれない。一枚は手拭いでも良いわ」
俺は新しいタオルと俺が二つ目になった時に作った披露の手拭いを渡した。それを見て梨奈ちゃんは
「ねえ、この披露目の手拭い。未だある?」
「あるよ。作りすぎたから」
「じゃあ、わたしにも一枚頂戴。鞄にいつも入れておくから」
「お安い御用だよ」
俺は熨斗紙に包まれた真新しい手拭いを渡した。梨奈ちゃんはそれを大事そうに鞄に仕舞うと、もう一枚の手拭いで姉さんかぶりをした。
「さて掃除をしましょうか!」
梨奈ちゃんは鼻歌を歌いながら掃除を始めるのだった。正直梨奈ちゃんの姉さんかぶりはこれも眼福ものだった。