小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ラブレター?

INDEX|1ページ/1ページ|

 
生徒会室のドアを開けた桔葉さんは、室内に向かって呟きました。

「お前の秘密を知っている」

 座って何かを読んでた生徒会長が、顔を上げます。

「ききちが僕を脅してる。」

「ききちって言うな!」

 自分の席に腰を下ろす桔葉さん。

「何で、あんたを脅す必要があるの?」

 鞄を開けて、何かを取り出します。

「命令で、思い通りに動かせる相手に…脅しなんか必要ないから」

「…ブレない、傲岸不遜さだね」

 苦笑する会長に、桔葉さんは封筒を差し出しました。

「僕に…愛の告白?!」

「封、開いてる」

 差し出した封筒を手に取るように、桔葉さんは促します。

「下駄箱に入ってたんだよねぇ」

「…ラブレター?」

 興味津々な顔で、生徒会長は封筒に手を伸ばしました。

「中、見ても良いの?」

 桔葉さんが頷くのを確認して、中身を取り出します。

<お前の秘密を知っている>

 便箋には、先ほど桔葉さんが呟いた言葉が書かれていました。

「─ 独創的な愛の告白だね」

 顔を上げた会長が尋ねます。

「ききちの秘密って…何なんだろう」

「ききちって、い・う・な!」

「…日頃の暗躍とか?」

「─ 隠してないけど」

「自慢気に、言わないように。」

 生徒会長は、天井を見上げました。

「生徒会で…会長の僕より、書記のききちの方に、決定権がある件は…」

「…」

「─ 公然の秘密だから…秘密ではないか。。。」

 視線を落とした会長は、桔葉さんの顔を伺います。

「事ある毎に、姉を妹扱いする件は…隠してさえいないし……」

 思案する生徒会長と、桔葉さんの目が会いました。

「どうしたの?」

「もしかして、私って…聖人君子?」

「…は?」

「バラされると困る秘密が、無いんだよ?」

「─ 秘密がないのは たまたまで…行いが正しいからじゃないと思うけど」

「まるで私が…邪悪な行動をしてるみたいに言うね。」

「善良な人間は…暗躍しないし、裏で牛耳らないし、姉を年下扱いしたりしないから」

 不機嫌になりかかった桔葉さんに、会長が慌てます。

「桔葉様が…ある意味では人格者で有る事は、動かし難い事実ですよ!」

「…ある意味って言うのが、引っかかるんだけど。。。」

 あやふやな笑顔を浮かべた生徒会長に、気勢を削がれる桔葉さん。

 椅子の背に身体を預けながら、目を閉じた会長に尋ねます。

「─ 何 考えてるの?」

「何事にも…人選って大事だなーって……」

「この場合の 正しい選択って、何?」

「… 脅しがいのある人を選ぶ。」

「なるほど──」

 意味ありげな桔葉さんの沈黙。

 何を察知した生徒会長が、目を大きく見開きます。

「間違っても、実践で確かめ様とか 思ったりしないように!」
作品名:ラブレター? 作家名:紀之介