いつか命を抱き締めるまで
白く骨が浮かび上がるほど強く握られた両手を見て、再び俺は予感する。初めて彼女に会ったとき。動物病院で治療を待つ間。メールでのやりとり。今日の再会。俺はなんどもその予感に囚われた。
きっと、他人に聞けば、それは違うというのだろう。
それでも俺は、この予感を、運命だと信じている。
いつか、その白く力の込められた莉歩の両手が、身体を這い上り、俺の命を抱き締める。
その日が来るまでは、彼女をそばで支えようと、俺は決心した。
作品名:いつか命を抱き締めるまで 作家名:ひいろ