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てっしゅう
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「歴女先生教えて~」 第四十一話

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「教科書には少し載せてあるけど、宗教観から歴史を見るという観点は余りされなかったと思うの。たとえば坂本龍馬は仏教を厚く信奉することを勧め、キリスト教信者から疎まれたりしていたの。宗教的な対立は過去にも戦争になったぐらい深刻な問題なのよね。もし何らかの排他的な動きが裏で暗躍していたとしたら、表に起こった現象はそのカモフラージュにされたのかも知れないって考えられる」

「そう考えると歴史って深いですね。我々が見せられている歴史には違う側面があるということになってしまいますね」

「そうなの!高木くん、いいところを突いたわ~」

「いいところを突いた・・・」

そう言って大笑いした高木に美穂は注意した。

「変なところで笑わないで。今は歴史の時間よ」

「すいません、頭がおかしくなっているようです」

「それじゃあ、保健室へ行く?」

ここでクラス全員が爆笑した。

「川野先生、またそこですか、もう苛めないで下さいよ」

「苛めてなんかいないわよ。真面目に授業を受けてくれたらそれでいいの」

「わかりましたよ。たまには加藤も当ててやってください」

「じゃあそうしましょうか。加藤くん何か答えてくれない?」

「はい、日本人は一部には敬虔なキリスト教信者、熱狂的な新興宗教信者が居たりしますが、大半は神道を信じていたのだと思います。仏教はそこに上手く入り込んで日本独特の混淆宗教となっていたのではないでしょうか」

クラスの全員がこの答えに感心したのか、加藤の顔を振り向いて見ていた。

「素晴らしい察しね。日本人はもともと信じられてきた神道の精神を失うことなく、仏教も儒教も取り入れてきたの。明治維新までは加藤くんが言うように神と仏は同じように祀られていた。
ところが明治になってそれまでのいろんな価値観が大きく変化したの。諸外国の力を見せつけられて、このままでは日本は植民地にされてしまうとの危惧から、一致団結して一つの国にしないといけないと考えたのね」

「先生!キリスト教に支配される恐れからですか?」

「そうね、そのキリスト教に負けないぐらい強い国家の統一原理を作ろうと生み出されたのが、国家神道と呼ばれる新しい神道だったの。この国家神道は天皇家の祖先である天照大神を頂点としたピラミッド型の構造を持ち、下のものは上のものに絶対服従しなければならないとしたの。神の末裔である天皇に忠誠を尽くさなければならないと言う事ね」

「その精神が日本を戦争へと導いたのですね?」

美穂は今の時点でそれに答えるのはまだ早いと思っていた。