ありふれた恋の物語
次の日も彼女は屋上に来なかった。どれだけ待っても来なかった。
次の日もまた彼女は屋上に来なかった。
次の日も、そのまた次の日も、彼女は屋上に来なかった。
結局、彼女に手術の事を伝える事ができないまま、俺は手術の日を迎えた。
俺の気のせいかもしれないが、手術当日は朝から病院内が騒がしかった。
病院内の売店に行く途中、ナースステーションから看護師たちの会話が聞こえてきたが、どうやら危篤状態の患者がいるらしい。
医者や看護師がその患者の対処のため、院内を走り回っていたから騒がしく感じたのかもしれない。