私だけ。
「…で、都さんの正体って 何なんですか?」
落ち着きを取り戻した葉月さんが、都さんに尋ねます。
「ごく普通の、人間」
「鏡に映らない体質がある人は、普通じゃ ありません!」
畳み掛ける葉月さんを、飄々と往なす都さん。
「─ 体質なんかで、人を差別したら いけないねぇ」
「…吸血関係の人だったり、するんですか?」
「怪我した指の出血を吸うぐらいで、食用には してないかな」
探究の火が付いた葉月さんは、都さんへの質問を止めません。
「─ 陽の光に当って、灰になったりは…」
「此処まで来れてるから。大丈夫じゃなかったら…日中に外出してないでしょ?」
「杭打たれたら…死んじゃうんですよね? 心臓に。。。」
「…そんな事したら、吸血鬼に限らず…大抵は、死ぬ事になると思うな。」