私のプレゼント
美卯さんが、用意したクリスマスのプレゼントを渡します。
「わーい!!」
初音さんは、喜び勇んで包を開けました。
「…」
中のぬいぐるみを見て、初音さんは沈黙します。
「はつねーが、この前店で ずーと気にしてたの!」
得意気に説明する美卯さんに、初音さんは答えました。
「─ 私が、コレを長い事 見てたのは…」
手に持ったぬいぐるみを、初音さんが複雑な表情で凝視します。
「…こんなの、誰が買うんだろうって……思ったから なんだけど。」
真相を聞いた美卯さんは、固まってしまいました。
空気を変えようと、初音さんが声を張ります。
「みーうがプレゼントくれたのは、物凄く嬉しいからね!」
「─」
「…なんで今回は、何が欲しいか…聞いて、くれなかったの?」
上目遣いの初音さんに、美卯さんは不満の声を漏らしました。
「誕生日の時に…今度は、自分で考えてって……言ったのは、誰?」
「え?」
「私、そういうセンスないからって、言ったのに…中身判ってると、サプライズじゃないからって。」
不服そうな美卯さんの視線を受けて、初音さんが小声になります。
「私、そんな事…言った、ねぇ…」
口を結んだ美卯さんは、無言で初音さんを見つめました。
沈黙に耐えかねた初音さんは、おずおず尋ねます。
「もう2度と…私にプレゼントなんか、しないって……思ってる?」
涙目寸前の初音さんを見て、美卯さんは苦笑いしました。
「何が欲しいか、聞いても良いなら…あげても、良いけど。」
両手を合わせた初音さんは、美卯さんに 深く頭を下げます。
「ほんと…ごめん。」
「─ 慣れてる。何時もの事だし…」
声の緩んできた美卯さんに、初音さんは約束しました。
「…お詫びに ごちそうするから。パフェ!」
初音さんの言葉を聞いて、美卯さんは表情を歪めます。
「何で皆…私にパフェ奢れば、許されるって…思ってるのかな。」
「─ でも…好きでしょ?パフェ」
囁かれた美卯さんは、目を緩めそうになりました。
それを確認して安心した初音さんの頭を、ある事実が過ります。
(クリスマスの出費で、私…もう今月は お金…ない!)
とんでもない事に気が付いた初音さんは 済まなそうな声で、美卯さんに お伺いを立てました。
「パ、パフェの件…年明けまで 待って貰える……よね?」