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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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君の記念日に懺悔する

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何とも些細なことから、君とホテルに来たことに後悔したが、ぼくの心の片隅に遊んでみたい気持ちがあった。有希は既にシャワーを浴びていた。
その有希の行動から、異性の扱いになれている感じを受けた。髪はセミロングで金髪に染められていた。化粧は普通であったが、いかにも風俗嬢的な印象を受けた。だからぼくもホテルに気軽についてきたのかもしれない。コンビニで働いていた姿からは想像も出来ない豹変振りであった。
 全裸の有希の体を見ると、ぼくの自制心などは何の役にも立たなかった。教師であることを既に放棄していた。
 ぼくは高校教師になって1年目であった。赴任先は女子高校であった。新採用であるから、担任は持たないが、年齢も生徒たちと近いので、校長からは恋愛関係には気を点けるように指導されていた。進学校であり、問題を起こす生徒は少なかった。5,6人の問題児がいたが、金額の少ない万引きであったから、補導されても、内々に済んだ。またアルバイトも禁止であったから、隠れアルバイトで指導される生徒がいるくらいであった。

 ぼくは隣町のコンビニでおでんを買った。はんぺん、ちくわ、ウインナー巻き、大根。車の中で食べようと思ったのだが、近くに公園があった。公園のベンチでおでんを広げた。食べながら、ちくわが無いなと思った。ぼくはレシートを調べた。レシートには記載されていた。100円にも満たない金額であり、このままにしておこうと思った。ぼくはそのまま残りのおでんを食べていた。
「すみませーん」
コンビニの制服を着た店員さんだった。
「ちくわ入って無かったでしょう?」
「入っていなかったですね」
でもわざわざ届けてくれると、変なもので、親切心を感じてしまう。
「良かったのに」
器にはちくわとたまご入っていた。
 ぼくはそのコンビニが気に入った。その店員さんが気に入ったのであった。年齢もぼくと同じくらいに思えた。まるでアイドルタレントのような華やかな雰囲気を持っていた。彼女目当ての客も多そうであった。レジは2台あるが、彼女の列がいつも客が多かった。ぼくもその1人であった。

 もちろん教師がアルバイトをしてはいけないのだが、ぼくは土曜日曜日の夜、月謝は取らずに英語を教えていた。その塾に有希が来たのであった。彼女はアメリカに行きたいからと言った。有希は自分のことは何も言わなかったから、ぼくは彼女の事は名前とコンビニで働いていることだけしか知らなかった。彼女がぼくのどこまでを知っているのかも分からなかった。
 目的がある有希は英会話の覚えも早かった。夏休みの事であった。有希は
「明日アメリカに行くから今晩だけ付き合って」
と言った。
 アメリカから有希からの手紙が届いたのは、有希と1夜を共にした日から6カ月たった正月であった。


  先生と体を寄せ合ったことは私にとって初めての経験でした。アメリカでどんなことにも耐えて行きたかったから、思い出は作りたかったと思っていました。身近に異性はいなかった気がしました。恋愛感情もないのに・・・娼婦になればと考えました。許して下さいね。だから辛いことにも耐えられそうです。目的を目指し頑張ります。

 有希の体は震えていた。ぼくは初めてのことではなかったから、有希の体を優しく愛撫することが出来た。ただ、有希を恋愛相手には観ていなかった。ぼくは医学生だった葉山かおりを忘れられなかった。
 だから、有希の手紙を読むまで、有希との一夜を後悔していた。