口紅 ~rouge~
記憶
少女の記憶は
僕に
勇気をくれる
何事も
無かったように
するくらいなら
現実を
身に受けたい
言い訳を
聞きたい訳じゃない
追求する訳じゃない
けれど
何も知らない素振りを
続ける訳にも
いかない
考え考え
考え抜いた
言葉
『 彼女 出来た?』
息子に送った
メール
息子は
僕の心を
見透かした様に
『 俺の子供が欲しい』
『 お前とは 付き合えない』
二言のメールが
届いた
咄嗟に返した返事
『 大丈夫』
理解していた
諦めていた
けれども
失恋の傷みより
息子から届く
俊敏な誠意に
僕は
嬉しくて
泣いた
作品名:口紅 ~rouge~ 作家名:田村屋本舗