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紅装のドリームスイーパー

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 あれからおれはずいぶんと背が伸びた。小学生のときはおれのほうが背は低かったのに、中学生のときに追い越して、いまでは花鈴と頭半分背丈が違う。花鈴はおれのことをチビと呼ばなくなった。それをいうなら、昔は「翔馬(しょうま)」とおれの下の名前を呼び捨てにしていたのに、あることがきっかけで「新城君」に変化した。おれは幼稚園のときから「花鈴」のままなのに……。
 グラウンドから体育会系の部活の声が聞こえてくる。サッカー部の「ナイスシュー!」の声はするけれど、とりわけ声の大きい野球部のかけ声が今日はまったく聞こえてこない。森の情報によると、エースで四番打者の三年生がケガをしたらしいから、急遽(きゅうきょ)、練習のメニューを変えているのかもしれない。
 潜伏していた睡魔が活動を再開した。頭が落ちかけてハッとする、を何回か繰り返したあと、睡魔の軍団はついにおれを攻略した。夢うつつの薄ぼんやりとした世界で、巫女装束の少女が楽しそうにおどっていた。少女は、花鈴だった。
 神崎先生の遠慮がちな声で目覚めた。
 手の甲で目をこする。
 いつの間にいなくなったのか──
 ベッドのなかに幼なじみの少女の姿はなかった。