猫
アパートへ
帰宅
僕の駐車場に
一匹の仔猫が
いた
駐車スペース付近で
車を降り
“危ないよ”と近づくと
仔猫は逃げて行った
車を駐車場に停め
アパートへ
歩き始めると
何処からともなく
小さな仔猫が現れ
僕の後を
付いてくる
痩せっぽちの
小さな仔猫
玄関を開け
“入るか?”と
仔猫を見下ろし
眺めていると
仔猫はドアに
体を擦り寄せ
小さな小さな
白い前脚を
玄関口へ乗せた
何もない
殺風景な部屋を
小さな脚幅で
動き回り
僕が腰掛けたベッドへ
人懐っこい小さな仔猫
誰かの飼猫なのだろうか
首輪もなく
痩せっぽち
ベッドの上で
小さく丸くなり
静かに眠りつく
朝方3時頃
か細く鳴く
仔猫の声
飼主が恋しいのか
親猫が迎えに来たのか
窓を眺め鳴く
ベランダの窓を開け
ゆっくり出てゆく
仔猫を見送り
“またな”
一夜限りの
儚い温もり
翌日
僕は
いなくなった仔猫の為に
仔猫用の餌と
猫用のミルクを買った
仔猫の訪問に
困らぬ様
一人暮らしの
僕のアパートへ
まさか
玄関前で
小さな仔猫が
待っているとも
知らずに
小さな
小さな
痩せっぽちの仔猫
手のひらで
抱えられる程
小さな仔猫
君に聞きたい事が
ある
“僕で いいのか?”
一緒に
夕食を食べよう
一緒に
ベッドで寝よう
明日は
トイレを
買って来るよ
君の為に
~END~