シマダイ! - あの日の しゃーたれっ子 -
雪の中に腕を突っ込み長靴を探す。幸いすぐに見つかった。
中を覗くと、案の定 雪が詰まってパンパンだった。自分の膝で叩き出してから、残った雪を 丁寧に手で取り除いた。
そして膝をつき、カコの足に履かせてやった。
「あ……ありがと……」
カコの頬は、これ以上ない程に赤く染まっていた。俺もまんざらではなかった。
むしろ最高に不細工なドヤ顔になっていた。
だが、周りの奴には 王子様とお姫様に映ったに違いない。
名付けてシンデレラ作戦。ストレートすぎるが、そこがいいのだ……。
「ワァ……」
女子からため息が漏れた。冷やかす男子も、もういなかった。
中途半端はダメだ。要は突き抜けてしまえばいいのだ。我ながら勉強になった。
〈キーンコーンカーンコーン♪ キーンコーンカーンコーン♪〉
終業のチャイムが鳴った。皆が一斉に教室に戻り始める。
カコが一瞬何かを言いかけた気がしたが、俺は構わず 走りだした……。
作品名:シマダイ! - あの日の しゃーたれっ子 - 作家名:daima