未定
次のように彼女に手紙を書くことを想像することで、僕の迷いは掻き消えた。
江李花へ・・・
君が僕のことを好きになってくれるかもという期待は、僕のまったく見当はずれな思い込みだったのだろう。ここまで連絡が取れなくなってしまった以上は、そう考えるより他はない。確かに直接君を訪ねて、その真意を確かめることはできるけど、今の僕は本来あるべき姿からかけ離れていて、君と会っていたときと状況は何も変わっていないから、また前と同じように自信なさげな態度になってしまうと考えるととても会いに行けない。
望むらくは、君に会えることを励みにして目標に向かって進むだけだ。もし、僕が目標を達成したとしても君は会いたくないかもしれないが、そんなことはこのことに関係ない。
なぜなら君が将来にわたってずっと僕に関わりがないとしても、君がきっかけになって僕が本来すべき行動に戻ったという事実は既に発生し、厳然たる事実として残っているのだから。
さあ、もう君との思い出にけりをつけて歩み始め、いや走り始めなければいけない。
どんなに心臓が苦しくなっても止まってはいけない。粉々に吹き飛ぶか、神の座に就くか、君との六ヶ月間にわたる接触の歩みの果てに、僕はこの二つの選択肢しかない崖際に引きずり出されたのだ。